2011年12月17日土曜日

【読書メモ】銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
ジャレド ダイアモンド
草思社
売り上げランキング: 2991
 先日読み終えた上巻に引き続き下巻も読み終わった。上下巻に渡るボリュームのある本だけど、不思議とそれと感じずに読めてしまった。というか、それぐらい面白い。帯を見るとピュリッツァー賞、コスモス国際賞受賞している。なるほど。  本書は「文字」、「発明」、「集権国家」について。さらに、上巻での内容を踏まえて、オーストラリアとニューギニア、中国、アメリカ、アフリカへと、様々な発明、農作物などが伝える側と伝えられる側とに別れる理由を展開していく。  大陸の地形、育つ農作物と野生動物そして、当時の国家の形態。これらが全てに作用する。物事には根拠があるということですね。

2011年12月4日日曜日

【読書メモ】夫婦ゲンカで男はなぜ黙るのか

夫婦ゲンカで男はなぜ黙るのか
タラ・パーカー=ポープ
NHK出版
売り上げランキング: 2146
HONZの書評をみて購入。この本は、雑誌やテレビでよくやっている「男女の関係を長く続けるには男性はこうしたほうがいい。。。、女性はこうしたほうがいい。。。」といった点を、実際に様々な実験の結果や生物学的観点から論じている。読んでいて、いろいろ「なるほど〜」。
夫婦ゲンカは少ないほうがいい、というのはどうも一概にはそうとも言えないようで、お互いわだかまりを抱えて我慢し続けるよりは、喧嘩をしてとことん話しあったほうがいいらしい。(僕は衝突が少ないに越したことはないような気がしたけど)お互いの関係を改善する良い機会なのだそうだ。僕は、できれば喧嘩はしたくない。
本のタイトルにもなっている「夫婦ゲンカで男はなぜ黙るのか」。男性は女性に比べて喧嘩によるストレスに弱いそうで、心拍の上がり方も急激で回復も遅いことが研究で明らかになっている。そのため、極力喧嘩を避けるし喧嘩でもあまり声を荒げないで黙る。
でも、喧嘩はしないよりやっぱりしたほうがよいらしい。そうすると、重要なのは喧嘩の仕方だ。言葉の選び方、そして、最初の3分が大事らしい。。。。

この本にはこのあたりのことが詳細に書かれている。普段の家事の分担に対する意識の違いや、財布はひとつにすべきか別々にすべきかなど、興味深い話もある。僕はこの本を読んだ時点では独身だけど、十分楽しめる内容だった。

2011年11月27日日曜日

【読書メモ】世界一のトイレ ウォシュレット開発物語 (朝日新書)

世界一のトイレ ウォシュレット開発物語 (朝日新書)
林 良祐
朝日新聞出版
売り上げランキング: 8443


HONZ 鈴木葉月氏の書評
を読んで購入。
ご存知、TOTOウォシュレットの開発秘話。今では当たり前のようにお世話になっているウォシュレットには様々な技術が使われている。その裏側を知ることができる。

そもそも水まわりに電気を使うICはタブーであったそうな。で、ウォシュレットに使われているICにはハイブリッドICという防水加工技術が使われている。実はこれ、雨でも台風でも大丈夫な、あの信号機の防水技術らしい。なるほど。。。他にも少ない水量でいかに汚物を排水するかにかんする凝ったしくみなどが紹介されている。

ウォシュレットの水の当て方、少ない水量でいかに適切に、心地よく「目標」に当てるのか。その技術は読んでいても面白い。

あと、単なる技術論だけでなく、著者の新製品開発における姿勢は参考になるかもしれない。

2011年11月25日金曜日

【読書メモ】大停滞

大停滞
大停滞
posted with amazlet at 11.11.25
タイラー・コーエン
エヌティティ出版
売り上げランキング: 89311

この本はHONZ 久保氏の書評を読んで買った。成毛さんの書評にもとりあげられている。この本の著者は世界的に有名な経済学者。僕自身、経済ってジャンルはどうも敬遠しがちだけれど、この本は読みやすくて安心した。でも、読んでみたらちょっと気分が落ち込んだ。。。

タイトルにもある大停滞。日本もパッとしない。じゃ、パッとしたときの世界はどんな状況だったのか。筆者は主に三つの要素を上げている。1.無償の土地 2.イノベーション 3,未教育の子供たち。今ではこれらの土地は開拓され尽くしたし、新たなイノベーションによる発明も無いし、教育水準も上がったしということで容易に収穫できる果実は食べ尽くされたってこと。

じゃぁ、経済の生産性が上がればまだなんとかなるんじゃないのかと。ここでも、政府部門、医療部門、教育部門からみてあまり生産性は上がっていないらしい。

それじゃ、インターネットはどうなの?これも収入を生み出す部門を経済に保ててない。要するに、効率的になった反面、雇用を生み出してないし、安価に楽しめるようになった。(つまりお金をかけなくて済むようになった)

なんか絶望的になってきた。。。解決策は?著者は「科学者の地位を高めましょう。」と主張する。つまり、今の景気の後退は経験したことがないくらい続く。そこで、国民が科学に深い関心を抱くことで、知的な面でも、情緒的な面でも困難に対処しやすくなる。う〜ん。科学に興味を持ち始めて最近本を読み始めたので、この点には賛成。やっぱり立ち向かうしかないのかなと。もっとたくさんの科学読み物を読もうと思いました。

【読書メモ】脳科学の真実--脳研究者は何を考えているか (河出ブックス)

脳科学の真実--脳研究者は何を考えているか (河出ブックス)
坂井 克之
河出書房新社
売り上げランキング: 248040

こちら、サイエンスライター 森山和道氏の書評を読んで購入。一時期書店に並んでいた、頭の回転をよくするための計算ドリル。。。私も買いました(笑)ただ、残念なことに、この本を読むと、これらの計算ドリルのたぐいはほとんど効果がないらしいです。(泣)

この本はある医学博士が現在続く「脳ブーム」について一言物申す。。。というわけではないけれど、現在の脳研究の状況をわかりやすく述べた本。最近は「脳科学者」という肩書きでいろいろな研究者がテレビにも出てる。おかげで、先の計算ドリルやら、書籍やらいっぱい出てるけれど、筆者の思いはどうも複雑らしい。

テレビに出ているこれら「脳科学者」は、脳研究に世間の注目を集めた点については評価しているが、それら「脳科学者」の言動やら、書店に並んでいる「脳xxx」ものの効果には疑問を呈す。

法廷の裁判から広告マーケティング、さらには科学まで、脳研究は、現在様々な分野で活躍している。ただ、脳の働きを分析して、それが人の行動にどう及ぼすかということは、ちまたで言われているほどまだ厳密には解明されていないらしい。だから、筆者としてもこの状況は何ともしがたいと思っている。

こういう本に出会うと、安易に計算本を買った自分が恥ずかしくなりますな。

2011年11月20日日曜日

【読書メモ】エネルギー論争の盲点―天然ガスと分散化が日本を救う (NHK出版新書 356)


こちら、HONZ久保氏の書評で紹介された本。節電は僕もちょっと取り組んだわけですが、この本を読んだ後で若干の虚しさを感じました。個人で節電してもやはり本人の満足感だけなんですかね〜。

で、そもそも、エネルギーってなんだ?ってことで、この本読むとわかりやすい。今、 原子力があのような状況なので、代替エネルギー源は何がよいか、ということで、水力、火力、風力といった各々のエネルギー源についてその特徴を述べている。そもそもエネルギー=電気って発想しがちだけど、それは正確に言うと違うらしい。電気は二次エネルギー、つまりエネルギーを伝えるもの。歯車と同じらしいです。

 本書では、効率的なエネルギーかどうかの判断ポイントは「エネルギー産出/投入比率」であるとしている。つまり、エネルギーは、入手しやすいことが大事。その観点からいくと、石油ほど効率的なエネルギーは無いらしいです。原子力は二酸化炭素を発生しないけれども、核燃料廃棄物を出し続ける、そしてそれらの処理に膨大なコストが掛かることを考えると最初から問題外ですね。

じゃ、石油は二酸化炭素発生するし、原子力もダメだし、水も、風も、いまいち。。。どうすればよいのか?筆者は「天然ガス」を有力なエネルギー源として提示している。天然ガスそのものは、真新しいものではないけれど、なぜ普及しないのか?このへんの裏側もこの本を読むとわかってくる。やっぱり政治が絡んでる。

そんなわけで、後半は天然ガスがどれだけ優れたエネルギーかが述べられている内容です。エネルギー論争について視野が広がるかもしれない。

【読書メモ】日本の魚は大丈夫か―漁業は三陸から生まれ変わる (NHK出版新書 360)

この本はHONZの10月のこれから読む本にピックアップされていたもの。東日本大震災では、三陸の漁業も多大な被害を受けたわけだが、本書は復興に当たり、現在の日本の漁業が取り巻く厳しい環境を説明している。そして、それらの厳しい状況と向かい合いながら、復興に向けた解決策を提示する。

最初、この本を手に取ったときは、三陸の地震が漁業に与えた影響ついて書かれた本かと思った。でも、読み進めると、確かにその点にも触れているけれど、どちらかというと、現在の日本の漁業が抱える問題にフォーカスした内容だった。

現在の日本の漁業を取り巻く状況はかなり厳しい。遠洋漁業はEEZで世界の海域から締め出され、 沖合漁業も落ち込んでいる。沿岸漁業もほぼ獲り尽くしてしまったらしい。それじゃ、養殖だということで養殖も始めたけど、これはかなりコストがバカにならないらしい。餌の確保も遠洋、沖合、沿岸もこのような状況だから、確保もままならない。日本の漁業は衰退産業とまで述べられている。

じゃ、ダメなのか?そこで筆者は、ノルウェーを手本に、三陸の漁業は復興ではなく、抜本的な改革を行うべきだと主張している。なぜノルウェーか。ノルウェーも日本同様、漁業が盛んで、過去に、日本同様、危機的状況があったそうな。ただ、ノルウェーはこの危機を自らの改革により克服し、いまではノルウェーの漁業は成長産業とまで言われている。漁協に事故改革を促している。

そして、最後に放射能のお魚への影響について述べている。要は、気にする人の考え方次第で全く魚を食べないか、産地を限定して食べるのか、あるいは気にせず食べちゃうのか。本書では、それらは読者の判断に任せている。

今のうちにお魚食べようっと。


2011年10月29日土曜日

【読書メモ】呪の思想 (平凡社ライブラリー)

呪の思想 (平凡社ライブラリー)
白川 静 梅原 猛
平凡社
売り上げランキング: 94916
HONZ.jpで紹介されていた本で、この手のジャンル、初めてでした。早速読んでみた。 この本は2002年2月5日に京都ロイヤルホテルにて行われた文化勲章受章者の白川静氏とこれまた文化勲章受章者梅原猛氏との「両巨頭」の対談をまとめたもの。本文も対話形式で書かれている。恥ずかしながら、僕は「二人の巨人」(帯書きより)について本書で初めて知った。
本書は全体で三つの章で構成されている。第一章は漢字の成り立ちについてイラストも交えて解説している。漢字のつくり一つ一つに古代の風習、宗教観が影響していることがわかる。ここは「へぇ~」の連発(笑)。
第二章では、孔子についても。孔子が生きた時代背景とか、孔子がどういう理由で諸国を渡り歩いたとか、孔子について勉強した学生時代に知りたかった。ただ、ここでも漢字についてその成り立ちに触れている。「囚」は、葬られた死体がを意味するけど、まだ体が残っているから再生可能な状態。だから、棺桶などに厳重に葬る。「死」は骸骨になってしまって再生不可能な状態。だから、そんな骸骨は草原に捨てる(!)、つまり「葬」となる。だから、昔は骸骨になった死体は捨てていた。こういう情報、漢字を勉強していたときに一緒に教わりたかったなぁと。

【読書メモ】なぜシロクマは南極にいないのか: 生命進化と大陸移動説をつなぐ

なぜシロクマは南極にいないのか: 生命進化と大陸移動説をつなぐ
デニス・マッカーシー
化学同人
売り上げランキング: 54291

HONZ.JPの書評で見つけた。タイトルはやわらかいのに、大陸移動説、進化論にもふれて、内容は硬派。先日前編を読み終えた「銃・病原菌・鉄(上巻)」にも通じる内容。 冒頭でも「生物地理学」という言葉が出てくるが、「銃・〜」も生物と地理について触れている。自分にとって、どうやらこのジャンルの本は要注目になりそう。

哺乳類にとっての体の大きさはとても重要らしい。体の体積に対する表面積の割合は、体が小さくなればなるほど大きくなる。つまり、体温が奪われやすい。ということは常に燃やさないと体温が維持できない。マウスやねずみが常にボリボリ食べてるのはそのため。。。なるほど〜って感じです。

「第4章 世界を変えた火山の環」では、大陸移動説と動物の進化のタイミングについて触れている。ここではゴンドワナ大陸における走鳥類を例に解説している。この部分は個人的に特に引きこまれてしまった。「へぇ〜」の連発だった(笑)

シャチのグループにも色々あることだとか、他にも面白い内容がいろいろあった。で、タイトルのシロクマは南極にいないって話。読めば納得です。

2011年10月24日月曜日

【読書メモ】私たちはこうして「原発大国」を選んだ - 増補版「核」論 (中公新書ラクレ)


弾小飼氏の書評を読んで購入。原発ハンタイ、原発スイシン、あなたはどっち派?正直答えあぐねている自分にとって本書はいろいろ考えさせられる本だった。原発無しで問題なければそれが一番だと思うんですけれども、現実は。。。。

原子力の平和利用を煽って一政治家が当選してしまう。裏側を知るとまるで仕組まれていたような気がしてならないのは僕だけだろうか。昔はウラン茶なるものが売っていたというのは驚き。でも、当時それを許容する世情だったというのは、知らないとは怖い。見知らぬ化学物質について、自らどういうものなのかを調べて見極める姿勢が必要だということ。って、頭ではわかるんですけどね。電源三法交付金のくだりは、興味深い。原発のその性質を考えると付近に住居を設けることはできない。ということは、原発の付近にはなるべく人が住んでいないほうが望ましい。地域振興とはおおよそ矛盾することになる。

新書はいつもすぐに読了してしまうけれども、この本はいろいろ考えさせられる内容だったので結構時間がかかってしまった。厚さの割に考えさせられる内容だった。

2011年10月23日日曜日

【読書メモ】逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)

逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)
渡辺 京二
平凡社
売り上げランキング: 1042

これも成毛さんの書評で紹介されていたもの。ここ最近、なんか江戸付いてる。かなりの厚さで読み応えありそう。

早速読み進めていくと、江戸から明治にかけての受験勉強やらテレビやらで身につけた浅はかな江戸末期〜明治初期の歴史観が大きく覆されたし感動すら覚えるところも。一方で明治維新によって日本は大きく近代化へ舵を取り、生まれ変わったというけれども、それとともに何か大事なものを失ってしまったような、そんな気がしてならない。

でも読み進めると、江戸末期から明治にかけて来日した外国人たちの日本人の印象を読んでいると、日本人の本質は変わってないところもあるんだなと感心してしまうところもある。そんなわけで、大変読み応えのある面白い本だった。

庶民の平等意識、幸福感を漂わせる貧困層の生活。自然と調和した住まいなど、当時の日本に対してベタ褒めな一方で、酒癖の悪さ、お風呂にかんすることなど、驚いている当時の外国人の動揺ぶりに関する記述がとても面白い。

600ページ迫るボリュームに読むのに時間がかかってしまったけれども、読んでおいてよかった、そう思える一冊でした。


2011年10月11日火曜日

【読書メモ】ヌードルの文化史

ヌードルの文化史
ヌードルの文化史
posted with amazlet at 11.10.11
クリストフ ナイハード
柏書房
売り上げランキング: 262772
こちらは、HONZ.JPの書評を読んで購入を決意。店頭で本を手にとってちょっと驚いた。厚い。。。(笑)著者はスイス生まれのジャーナリスト。変に日本人でもなく、中国人でもなく、イタリア人でもないので、力が入ってなくていい。

ヌードルっていうから安易にラーメンのこと、あとパスタもみたいな、という内容を思い浮かべたが、小麦の品種のお話から、ヨーロッパのパスタにまつわる歴史、もちろん日本を含むアジアの麺料理のことまで取り上げている。いろいろな歴史をたどりつつ、あっという間に読み終えてしまった。今では手軽に食べられるパスタも、ルネッサンス時代のイタリアでは上流階級の食べ物だったそうな。ヨーロッパのその他の地域も小麦自体がとても高価なものだったらしい。
冷麺はもともと小麦だけだったようだ。しかし、痩せた土地でも育つソバが、そして小麦の代わりにジャガイモ澱粉を入れるようになって現在のようなコシのある風味になったらしい。ソバ粉自体、もともと貧乏人の食物だったとある。自分は今でもソバをよく食べるんだが。。。。それから、冷麺を真鍮の鉢で食べるのは、もともと銀製だった。食事に盛られた毒を見分けるため。銅または銀製の容器は毒に触れると色が変わってわかるそうな。なるほど。他にもいろいろ面白い、なるほど話が書かれてます。

【読書メモ】銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
ジャレド ダイアモンド
草思社
売り上げランキング: 3725
こちらはWIRED大学(FACEBOOK)で取り上げられていたものからチョイス。この本自体はそんなに新しくない。2000年に初版が発売されている。本屋さんでも歴史書の棚で目にしたけど、なかなか購入に至らなかった。今回WIRED大学で取り上げられたので買ってみた。上下巻の構成でかなりのボリュームだけど読んだらこれが面白い。

この本はニューギニア人ヤリの素朴な疑問から始まる。「あなた方白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものが殆ど無い。それはなぜだろう?」
ここから、なぜ侵略するもの、されるものが生まれるのか、という点を人間の進化の歴史からたどって地形、天候などあらゆる要素から考える。読んでいくうちに、どんどん引きこまれてしまった。とりあえず上巻だけ読んだけど、下巻もすぐに読む予定。
侵略戦争では、武力の優劣がそのまま勝敗を分かつのかなと思ったら、さにあらず。一番の原因は病原菌だそうだ。ヨーロッパ人による南北アメリカ大陸、オーストラリア大陸、南アフリカ、太平洋諸島の先住民を決定的に追いやったのは武力ではなく、病原菌。では、病原菌による抵抗力の有無はどのように生まれたのか。それは、家畜の有無。より多くの、多種の家畜を飼うことが出来れば多様な病原菌にさらされ、その中で病原菌に抵抗すべく抵抗力をみにつけていく。では家畜の有無はどうやって発生するのか?それは。。。というように、どんどん引き込まれる。
穀物の伝播は、東西方向のほうが南北方向よりも早く伝わった。南北方向では、気候の差が顕著になるからだ。ということは、南北に長い大陸よりも東西に長い大陸のほうがより広範囲に早く文化、文明が伝わりやすい。その大陸は。。。ユーラシア大陸。ふむ。

下巻が楽しみだ。

2011年9月26日月曜日

【読書メモ】毛沢東の大飢饉 史上最も悲惨で破壊的な人災 1958-1962

毛沢東の大飢饉  史上最も悲惨で破壊的な人災 1958-1962
フランク・ディケーター
草思社
売り上げランキング: 15225

HONZ.JPで成毛さんに紹介されていた本。中国モノの本をあまり読んだことがない自分にとっては「待ってました」といった感じ。で、実際に書店にて手にしたときはもう、その厚さにびっくりでありました。大丈夫かな、最後まで読めるかな。。。。

実際に読んでみると、自分の抱いていた中国に対するイメージがひっくり返った。いやはや「毛沢東」である。やりたい放題って感じだ。
この本では中国で取り組まれた「大躍進」という名の改革について取り上げている。1958年から1961年のたった数年だが、この期間に起きたことは本書を読むと凄まじい。ここまで人が非情になれて、そして多くの人が死んでいくのかという事例がこれでもかというぐらい載っている。もちろん、情報統制のとれた国だから正確な資料なぞでてこない。しかし、可能な限りの収集した資料と、取材に基づいた本書の内容は、この厚さにもかかわらずあっという間に読み進めてしまった。

戦争など痛ましい虐殺が起きるのは異教徒、異文化の民族対立で起きるのは歴史が証明しているが、本書を読んで驚いたのは、これほどの餓死、殺人が一つの国家の政策のもとに起きたということ。
つい先日、中国で起きた新幹線の事故で、車両を埋めてしまうムチャぶりを発揮した中国だが、この本を読んでみるとまだまだかわいいものかもしれないと感じてしまうとともにに、変に納得もしてしまった。

2011年9月18日日曜日

【読書メモ】チョコレートの真実 [DIPシリーズ]

チョコレートの真実 [DIPシリーズ]
キャロル・オフ
英治出版
売り上げランキング: 69962

 成毛さんの書評で紹介されていたものです。
 この本を読んだら、10年以上前に読んだ「バナナと日本人」を思い出した。今スーパーで普通に板チョコを買うとモノにもよるけど、100円弱ぐらい。この安さも少なからず現地の異常に低い人件費の賜物だろうか。。。と思いつつチョコレートを久しぶりに食べながら読み進めた。知らないって怖いことだなといろいろ考えさせられる内容。安く手に入るものは奴隷制度・搾取とセットですね。

 小学生の頃に社会の授業で、カカオの世界一の産地はコートジボワールと習った。それ以来、アフリカの中でも安定している国との(勝手な)思い込みがあったけどいろいろあったようです。
 しかし、自国民からあそこまで搾取できるというのはなんとも。。。まぁ、この感覚は平和な日本にいるからこその感覚なのでしょうか。
 それにしてもカカオ栽培に関わる人々の境遇たるや、読んでいて絶句。

 

バナナと日本人―フィリピン農園と食卓のあいだ (岩波新書)
鶴見 良行
岩波書店
売り上げランキング: 76722

【読書メモ】ハチはなぜ大量死したのか (文春文庫)

ハチはなぜ大量死したのか (文春文庫)
ローワン ジェイコブセン 福岡 伸一
文藝春秋 (2011-07-08)
売り上げランキング: 4178
HONZの書評を読んで購入。CCD(Colony Collapse disorder:蜂群崩壊症候群)。ある日突然、巣箱からハチが突然姿を消した。本書では、このCCDの原因を探っていく。謎の解明にむけて読み進めていく。あっという間に引きこまれてしまった。
 この本を読んで、ハチの生態や、身近な農作物がハチによる花粉交配に依存していることを知った。マンゴーやチェリー、アーモンド、レタス、オニオンシード、ブロッコリなど、聞いたことのあるものばかり。
 蜂蜜は、その名のとおり、ミツバチから取れる蜜だが、市場に出回っているものの中には「混ぜ物」の可能性も否定できないらしい。コーンシロップやライスシロップと言われる人工的に作られた蜜を混ぜているものがあるそうな。これは、とても安価でしかも違いがわかりにくい。
 ハチにとって蜜を作るのは重労働らしい。だから、最近はハチにサプリメントを与えているところもあるらしい。
 養蜂のいろいろな事情が垣間見える。

2011年9月11日日曜日

【読書メモ】「歴史」を動かす―東アジアのなかの日本史

「歴史」を動かす―東アジアのなかの日本史
小島 毅
亜紀書房
売り上げランキング: 49717

この本はHONZ.JPのSpecial Reviewでタレント麻木久仁子氏が紹介した本。で、本書は小島氏の九回に及ぶ講演会の内容をまとめたもの。

僕は受験の時に日本史を選択したけど、この時の知識は10年以上たった今でも歴史物の知識に触れるときの基本になっている。で、この本はかつて日本史を先行した人にとっては記憶のブラッシュアップにいいかもしれない。政治史、文学史といった点で覚えていた知識をひっくるめて線でつなげてくれる。
仏教、儒教の日本、中国、韓国それぞれの受け止め方の違いや、中世の日本と、その当時の中国の状況を踏まえた貿易、足利義満と南北朝時代そして、天皇家系図についてなど、読んでいて改めて知った点が多かった。上杉氏の変遷(関東→内紛で群馬、越後→会津)もそういうことかと。
他にもいろいろあって、決して難しい内容ではないのですが、着眼点がおもしろい。

【読書メモ】友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学

友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学
ロビン ダンバー
インターシフト
売り上げランキング: 2204

 成毛さんの書評ブログで紹介されてました。
 コミカルな表紙とは裏腹に、かなり読み応えのある内容。読んでいて「なるほど〜」を連発してしまった。
 例えば、男性、女性の群れの中での役割の違いの話。男女で会話の際に話す内容が違うらしい。男性は女性にアピールする必要があるから自然と自分のこと、自分の知識について語り始めがち。女性は、他人についてのうわさ話が中心らしい。それは、子育てが周りの協力を得て行う必要があるから。うわさ話を通じて仲間と良好な関係を得る、仲間と情報を共有する必要がある。なるほど〜、確かに友人、知人、自分も含めて思い当たるフシはあるな。。。

 他にもミルクを受けつける体質が実は北欧人とサハラ砂漠南縁に暮らす一分の牧畜民だけで、他の人種は離乳後にミルクを消化する酵素が働かなくなってしまうとか、他にもいろいろな「なるほど〜」があって、面白かった。

2011年9月5日月曜日

【読書メモ】白人はイルカを食べてもOKで日本人はNGの本当の理由 (講談社プラスアルファ新書)


 この本は、東えりか氏の書評ブログで紹介されていた。氏はHONZ.JPのメンバーでもある。

 僕はダイビングをやるのでクジラを食べるという感覚に若干抵抗がある。どちらかというとクジラとかイルカは綺麗な海の象徴というイメージを持っているからだ。実際にクジラの竜田揚げを一度食べたことがあるがあまり美味しいと思わなかった。

 でも、クジラ漁を即刻やめよという動きについては抵抗を感じる。クジラ漁は日本の伝統であり、部外者(自分を含む)がどうこういう資格はない、というのが僕のスタンス。ということを踏まえて、本書を読んでみる。

 まず、本書の著者、吉岡氏は、中日新聞新宮支局長であるジャーナリスト。和歌山県太地町のイルカ漁を舞台に地元住民と、捕鯨に反対するシーシェパード、欧米の反捕鯨団体への取材、そして、後半は捕鯨国であるフェロー諸島への取材をしている。フェロー諸島での取材では同じ捕鯨国同士、でも対外的な対応の違いを明らかにする。ちなみに、イルカとクジラは大きさで区別しているだけで種類として明確な違いはないということを初めて知った。。。

 太地町へは過去に数回ほど串本町へダイビングに向かう途中に立ち寄ったことがある。確かにクジラの町という看板、見ました。だから僕にとっては親近感を感じる地域であります。

 この本を読んで、いろいろ考えさせられる内容だった。賛成、反対、どちらの意見もあって然るべき。ただ、この本で、映画「コーブ」の主人公を演じたオリバー氏とのやりとりを読む限りは、反対意見の理由がやはり科学的でないし、日本人の僕からすると、確かに欧米人の勝手な論理という点は感じなくもない。

 一方で、日本人としても、伝統あるイルカ漁をもう少し上手くアピールする方法を考える必要があるだろうと強く感じる。オリバー氏含め、反対派は一部メンバーによる網を破る等乱暴な実力行使があるが、総じて映画のメディアへの取り上げられ方、ネットの使い方など、アピールの方法が周到だ。

 また、水産庁や財団法人日本鯨類研究所顧問の大熊氏のインタビューは興味深い内容だった。特にクジラ漁と漁獲資源との関係について科学的説明をしてくれてる。人間とクジラは食べる魚が重なる部分もあるので定期的なクジラの「間引き」が必要であるということ。そうしないと人間が食べられる魚が減る。このあたりもう少し明確に世界にアピールできないのかなと強く感じる。

2011年9月4日日曜日

【読書メモ】SUPERサイエンス 南極海ダイナミクスをめぐる地球の不思議

SUPERサイエンス 南極海ダイナミクスをめぐる地球の不思議
青木 茂
シーアンドアール研究所
売り上げランキング: 59602

  成毛さんの書評ブログで紹介されてました。書評にもあるとおり、チェンジングブルーで取り上げられた深層水についての本。

 読んでいてとても楽しい本だった。コンベアベルト、特に極域における海水の塩分濃度と水温の関係における水の流れなど、わかりやすいイラストと共に説明されている。
 また、気候システムのところでは極域の気候に触れ、大気循環にも触れている。厚さにたじろいたけど読みやすい内容。

【読書メモ】原発報道とメディア (講談社現代新書)

原発報道とメディア (講談社現代新書)
武田 徹
講談社
売り上げランキング: 11436

 この本を買う前に本当は「私たちはこうして「原発大国」を選んだ」を読書リストに挙げていたけど、読売ONLINEの書評を読んでこちらを先に購入。

 考えさせられる内容で、読み応えのある一冊でした。
 地震発生以来、自分は果たして冷静なアクションを起こせたのかな?と振り返りがてらいろいろな本を読んでいます。そもそも原発とはどういうものなのか、メディア報道を受けて自分はどう行動を起こしたのか、それは正しかったのかと。
 Twiiter、ネットなどでも、原発推進派、否定派が渦巻いていて、一方でそれを報じるテレビ、新聞、ネットなどのメディアについても賛否両論。自分自身結論を出せないまま悶々としていた。原発は良くないと思いつつ、原発の恩恵を少なからず受けてきた自分もいるわけで、はて、どうすれば自分自身納得の行くアクションが取れるのかなぁと。そして、この本です。

 メディア論の本は、著者や読む人のスタンスによって感じ方も変わるかもしれない。けれど、この本は、一つのヒント、指針を示していると思いました。自分は別にジャーナリストになるわけでもないけれど、いろいろな情報に触れるにあたり、心構えについてヒントをこの本は与えてくれたような気がする。
 気になるところをあとで見返すようにページの端を追っていたらほとんど折り目がついてしまった。

 ただ、メディア論に関する他の本も読んだ上でこの本を読むとなるほどと思うかもしれない。(あ〜、そう書くほど読んでないな。もっと読もう。。。。)
 

2011年8月23日火曜日

【ちょっと休憩】書評サイトを追加しました。

 書評サイトのリンクを2つ追加しました。

 いずれもHONZ.JPでハマザキ書クさんに紹介された書評サイト。どんなサイトかはこちらをご覧ください。
 新世界読書紀行のサイト覗いたら、過去ログ含め時間も忘れてどっぷり読み込んでしまったので即リンク決定。新書野郎も同様。ただし、新書野郎は更新止まっているのかな?

 「新世界読書紀行」
 「新書野郎」 
 →こちらは現在2011年4月から更新がストップ。

【読書メモ】「燃料電池」のキホン (イチバンやさしい理工系)

「燃料電池」のキホン (イチバンやさしい理工系)
本間 琢也 上松 宏吉
ソフトバンククリエイティブ
売り上げランキング: 138124

 小飼弾氏の書評ブログで取り上げられています。
 福島原発の事故以来、いろいろなエネルギー源に関する書籍を読みあさる日々です。やや食傷気味となったので一旦歴史物に逃避(笑)してたので時間がかかってしまった。でも、燃料電池に関してはクルマの新しい動力源の一つでもあるので、買ってみた。
 絵がカラフル過ぎてかえって疲れたな〜。もう少し簡単な絵にしてくれるとありがたい。

2011年8月21日日曜日

【読書メモ】「人工冬眠」への挑戦 (ブルーバックス)

「人工冬眠」への挑戦 (ブルーバックス)
市瀬 史
講談社
売り上げランキング: 141190

 こちらは森山和道氏のブログでしょうかいされていたもの。
 冬眠のメカニズムについて、熊とリスのメカニズムに触れて、最終的に人間への応用の可能性についての現状を探る。とても読んでいて面白い本だった。個人的に熊の冬眠メカニズムはとても興味深い内容だった。

 冬眠前にたくさん食べて脂肪として栄養を蓄えるのは何となく分かる。熊のすごいのは、冬眠中に子供を産んで子育てをすること。そして、冬眠明けでもほとんど筋肉の萎縮と骨の劣化がないこと。
 人間の場合は、長いこと寝ていると使わない筋力は急速に衰えてしまう。また、空腹が続くと脂肪からの栄養摂取、筋肉、そして、最終的に骨から摂取することになるから、筋力は衰え、骨がもろくなる。だから冬眠はなかなか難しい。
 しかし、冬眠中の熊は、タンパク質の最終代謝物である尿素を膀胱から再吸収して分解することができる。そして、尿素に含まれる窒素と脂肪代謝物の副産物であるグリセロールからアミノ酸を作り、タンパク質にリサイクするすることができる。だから、筋肉の萎縮も防ぐことができる。
 また、骨も破骨細胞の働きで血中に溶け出したカルシウムから骨芽細胞によって骨を作成することができる。だから、冬眠中も骨が弱くなってしまうことはないのです。すごいな熊。

 人間が冬眠できれば、寿命も伸びるし、比較的長く若い肉体を得られるかもしれない。しかし、一時的に代謝を停止(ハイバネーション状態)からの復活時にはいろいろな課題もあって一筋縄ではいかないようです。このあたりは「睡眠」の問題とも絡むらしい。確かに過去の読んだ睡眠に関する本にも、睡眠というメカニズム事態がまだ完全に解明されていないとあったから、こりゃ当面実現は難しそうだなぁと読んでて実感。
 2001年宇宙の旅で出てきた人工冬眠が実現するのは。。。やっぱり難しそうだ。

2011年8月20日土曜日

【読書メモ】極限の科学 (ブルーバックス)

極限の科学 (ブルーバックス)
伊達 宗行
講談社
売り上げランキング: 109513

 これも成毛さんのブログで紹介されていたもの。なんとかついていった(?)けど、「ボーズ凝縮」あたりから怪しくなってきた(笑)

 この本では、極限状態を温度、圧力、磁場の3つの視点から述べているけれども、正直あまりに自分の触れる世界とかけ離れすぎて実感がわきにくく難しい。部分的に印象的だったところを抜き出すとこんな感じ。

 温度の章では、熱力学の三法則では「エントリピー」がでてきた。ああ、マックスウェルの悪魔にも出てきたぞ。やっぱりここでも出てきたか。
 圧力のところでは、高圧を加えると半導体やイオン結晶のような電気伝導のよくない物質が金属化する。ダイヤモンドが例に挙げられているが、3500K以上、13万気圧という途方もない環境である。
 磁場は自分の中で最もイメージしにくかったので難しかった。。。。

2011年8月19日金曜日

【読書メモ】コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった

コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった
マルク・レビンソン
日経BP社
売り上げランキング: 17409

成毛さんのベスト10冊にも選ばれてる。立ち読みで読み始めた段階でかなり読み進めてしまうほど引きこまれてしまい、即買い。

今では海外製品をコストを意識すること無く普通に購入できる。クルマもしかり。このあたり疑問だったけど、本書を読んで納得。コンテナ革命によって、輸送費は利益計算にさほどの影響を及ぼさなくなったからだ。

本書ではコンテナ輸送の立役者、マルコム・マクリーンが様々な障害を乗り越えてコンテナ船による運送を開始するところから始まる。とても臨場感があってあっという間に引きこまれてしまった。
ニューヨーク、サンフランシスコといったアメリカの東と西で繰り広げられる労働組合と船会社、国との駆け引きなどは本の厚さを忘れてあっという間に読めてしまう。
また、海外でもコンテナ船の受け入れをめぐって熾烈な競争が繰り広げられる。コンテナ船を受け入れるには十分な深さのある港とコンテナを速やかに運び出して積み込む巨大なクレーンが必要になる。それにはかなりの投資が必要になるが、コンテナ船に立ち寄ってもらわなければ、これらの投資も無駄になる。当然、雇用の確保もままならない。競争に敗れることの経済的損失はかなりのものなのだ。

日本は横浜と神戸が巨大コンテナ船の主要ターミナル港だが、大丈夫かな。。。。

【読書メモ】ご先祖様はどちら様

ご先祖様はどちら様
ご先祖様はどちら様
posted with amazlet at 11.08.07
高橋 秀実
新潮社
売り上げランキング: 16882

 これも成毛さんのブログで紹介されていたもの。
 著者が自分の先祖を遡っていく。結局、家系図がなかったり、あったとしても信ぴょう性に疑問があったりとかで、特定には至らないわけだが、家系図をたどっていくうちにめぐり合ういろんな人が面白い。自分は天皇家の直系と信じて疑わない人もいれば、てんで興味がない人もいる。世の中いろんな人がいるんですね。

【読書メモ】球体のはなし

球体のはなし
球体のはなし
posted with amazlet at 11.08.01
柴田 順二
技報堂出版
売り上げランキング: 413839

 こちらは成毛さんのブログで紹介されていたもの。読み終わって振り返ると、印象的だったのは序盤に紹介されていた球体に関する歴史についての記述だった。
 球体の歴史は、主に金属を加工して作成した球体(軸受等に使用)と、ガラスレンズを加工して作成した玉(ぎょく)の作製に遡る。
 玉の作成技術は中世には眼鏡制作の技術へ生かされる。19世紀後半には軍でも専用の製造組織が作られる。後に軍の要請で、今ではおなじみ、東京光学(現㈱トプコン)、日本工学(現㈱ニコン)が設立されて近代光学産業の基礎となる。
 玉軸受は、のちに自動車政策へ生かされる。これは、自動車ショーの部品メーカーのブースを眺めているといろいろわかる。
 結局、厳密な意味での完璧な真球を作成するのはほぼ不可能で、作製方法も機械化されているとはいえ、昔とあまり変わっていないようです。

2011年8月7日日曜日

【読書メモ】献体 ―遺体を捧げる現場で何が行われているのか (tanQブックス)

献体 ―遺体を捧げる現場で何が行われているのか (tanQブックス)
坂井 建雄
技術評論社
売り上げランキング: 250488

 HONZ.JPで紹介された本。個人的にも興味があったので買ってみた。

 この本では、献体する手続き、実際に献体が医学生により使用されて、最終的に遺族に遺骨として変換されるまでを詳細に説明している。
 後半の各国の献体に対する意識の違いというのも印象的。アメリカ、ドイツ、イギリス、中国・台湾について、それぞれの国の献体に対する考え、制度についての説明はかなり興味深い。

【読書メモ】みんなが知りたい化石の疑問50 一部の化石からどうして全体がわかるの?映画のようにDNAから恐竜を再生できる? (サイエンス・アイ新書)


 以前読んだ「乾燥標本収蔵一号室」で、化石のことがちょっと気になったので買ってみた。そもそも化石ってなんだ?ってことで。

 冒頭にそれらの疑問は集約されてます。で、中盤から後半にかけて地球史、生物史の話も。こういう本が小学校の図書室に置いてあったら間違いなくハマっていただろうな。。。。

【読書メモ】眠れない一族―食人の痕跡と殺人タンパクの謎

眠れない一族―食人の痕跡と殺人タンパクの謎
ダニエル T.マックス
紀伊國屋書店
売り上げランキング: 9319

 タンパク質の異常が原因として発症する病気、不眠症、クールー病、スクレイピー、狂牛病を取り上げている。この本を読んだ2011年7月時点では、HONZ.JP で成毛さんがベスト10に挙げた本。

 冒頭、謎の不眠症で次々と命を落とす一族の話を取り上げている。一方、ヨーロッパでは羊の間で奇妙な病気が発生している。発症した羊は体をこすりつけて血だらけになっていきやがて死に至る。スクレイピーである。
 それから舞台は、パプアニューギニアへ。ここでは、現地人の間でクールー病による死亡が相次いだ。ヨーロッパに戻って、イギリスでは、牛が謎の死を遂げる事象が相次いだ。後のBSE(牛海綿状脳症)である。しまいには同じ原因で死亡する人も。そして、1990年代のアメリカ、日本によるBSE騒動、現在のこれら病気への取り組みについて時代を過去から現在へたどっていく。

 読んでいくうちにすっかりこの本の世界に引きこまれてしまいます。読んでいくうちに、タンパク質だから消毒は意味がない。じゃ、どうすればいいのか。。。と気になることがいろいろ出てくる。読み進めていくと、効果的な治療法がない事がわかります。ちょっと怖いお話でもあります。

 お肉に対してやや警戒していた頃は肉モノの料理を敬遠してた時もありましたが、今ではすっかり美味しくいただいております。喉元すぎれば。。。。でしょうか。

 あと、この本を読んでいると、政府の対応といい、全くお粗末さは相変わらずで、それはどこの国も変わらないのかなと思ってしまう。いや、政府のいうことは眉唾かもしれないということを常に肝に銘じておく必要があるかもしれない。 

2011年7月31日日曜日

【読書メモ】仏像のひみつ

仏像のひみつ
仏像のひみつ
posted with amazlet at 11.07.31
山本 勉
朝日出版社
売り上げランキング: 13454

 近々、上野の仏像展を見に行こうと思っている。この手の展示会は事前に勉強しておくと楽しさがよりますということで、比較的読みやすくて楽しげな本を探していたところこの本に出会った。

 著者は東京国立博物館を長年務めた方で、本書も博物館で仏像をより楽しめるように比較的やさしめにまとめられている。

 前半は、仏像の階層とそれぞれの階層についてのおはなし。
 常識かもしれないが、仏像にも組織があって、以下のような階層になっている。
  如来>菩薩>明王>天

 後半は仏像作製のいろいろな方法。

 大学受験の頃に日本史を選んだ私は一心不乱に仏像を暗記したがこの本を読んでいれば多少勉強も楽しめたかもしれないなぁと。。。。 

【読書メモ】乾燥標本収蔵1号室―大英自然史博物館 迷宮への招待

乾燥標本収蔵1号室―大英自然史博物館 迷宮への招待
リチャード・フォーティ
NHK出版
売り上げランキング: 12836

著者は長年、大英自然史博物館に務めた古脊椎動物部門主席研究員で三葉虫を専門にする古生物学者。著者の視点から大英博物館の裏側にスポットを当てた本。この本は著者にとって「わたしの個人的な収蔵室」であり、「自分用の書庫」であるという。400ページを超える大著だけど、すんなり入っていける。個性的な学者が次から次へと出てきて退屈しない。後半では、大英自然史博物館を含む博物館を取り巻く厳しい環境を中心に著者の思いが熱く語れられている。博物館は展示会などでたまに行くけど、裏側にはこのような厳しい状況があるんだなとしみじみ。

【読書メモ】奇跡の生還を科学する 恐怖に負けない脳とこころ

奇跡の生還を科学する 恐怖に負けない脳とこころ
ジェフ・ワイズ
青土社
売り上げランキング: 357699

 こちら、HONZ.JPで取り上げられた本。非常事態の時に冷静に行動するにはどうすれば良いのか。何かヒントがあるかもしれないということで、興味をそそられた本。で、結論から言うと、近道はなく、非常事態でも反射的に正しい行動ができるようひたすら訓練する、そして、そのような状況を楽しむように受け入れる、しかないようです。

 この本では、熊に襲われ、生還したヒトの話、何十年もの経験を積んだ舞台俳優が、舞台で緊張のあまり、台詞を忘れてしまう話、操縦した飛行機が墜落しかかったが驚くべき冷静な対応で生還した人の話など、いろいろなケースを取り上げて、どうすれば非常時に冷静に行動できるかを探っている。

 印象的だったことのメモ。

・激しい恐怖とうまく付き合えるかどうかは前頭皮質と扁桃核の調和にある。扁桃核は興奮させる側、前頭皮質は抑制する側。
・ストレスを感じると、意識、無意識にかかわらず、交感神経の働きで呼吸は速く、浅くなる。その結果、血液中に酸素が溶け込みすぎて、二酸化炭素の濃度が低過ぎになる。このようにアンバランスが起きると血管が収縮するので、脳では逆に酸素が不足する。その結果、呼吸が速く、浅くなる。そして過換気がおきて頭がくらくらになる。これらの症状を回避するすべは無く、ヒトは無意識のうちのそのような状況になるところを避ける様になる。
・舞台恐怖の解決方法として認知行動療法が挙げられる。恐怖心と向き合い、自信を育てていくことで舞台恐怖を克服する。
・恐怖は恐れるのではなく、恐怖を仲間にする。克服するのではなく、かといって味わう場面を避けるわけでもないと考えることが良い。

2011年7月24日日曜日

【ちょっと休憩】HONZ.JPをリンクに追加しました

 本好きにはとても興味深いサイトが出来ましたのでご紹介。

 「HONZ.JP」(ほんずじぇーぴー)です。どんなサイトかは成毛さんのサイトを御覧ください。こちらのサイトでも書いてあるとおり、書評サイトではないのでジャンルを「おすすめ本サイト」としています。

 欲しい本がますます増えていくので悩ましい限りです。。。。

2011年7月18日月曜日

【読書メモ】放射線のひみつ

放射線のひみつ
放射線のひみつ
posted with amazlet at 11.06.17
中川 恵一
朝日出版社
売り上げランキング: 343

 この本は、小飼弾氏の書評ブログで取り上げられたもの。まずは基礎知識として「日本は原子爆弾をつくれるのか」を読んだけど、これ一冊だけではまだまだ足りない。かといって、いま巷にでている放射能の本は、どれが読みやすいのやらよくわからない。しかも執筆者の原発へのスタンス・出版タイミング(福島原発事故の直後)によってまともな書籍がどれか判断できない。。。。というところ、小飼弾氏の書評を参考にさせてもらった次第。
 ちなみい、作者は中川恵一という東大病院の放射線科に務める医師。チーム中川のヒトです。

 読んでみると、実にわかり易い内容。単に危険性だけでなく、富士山頂や飛行機による被爆量なども示してくれてる。これがわかれば、むやみに怖がることはないだろう。

【読書メモ】新装版 マックスウェルの悪魔 (ブルーバックス)

新装版 マックスウェルの悪魔 (ブルーバックス)
都筑 卓司
講談社
売り上げランキング: 2599

 本書を何で知ったかは失念(^^ゞ かなり昔の本ですが、たいそう売れたようです。

 まず、おもしろい。普段接する何気ない現象をいろいろ掘り下げていく。確率論を用いて、起こるべくして起きたというところはなるほど。。。この本を読んだ後、普段の何気ないことも、運の良し悪しじゃなくて、確率論としてどうなのか、なんてふと考えるようになった今日この頃です。

2011年7月10日日曜日

【読書メモ】数学的思考の技術 (ベスト新書)

数学的思考の技術 (ベスト新書)
小島 寛之
ベストセラーズ
売り上げランキング: 6804

 小飼弾氏の書評Blog で絶賛されていた本。

 読んでいてなるほどと思った。普段接する身近な場面で、自分としてもなんとなく分かっているけれでもうまく説明できないことがあったけど、これ読んですっきりした。

 後半の村上春樹の小説のところは自分が小説を全く読まないのでいまいち読んでも頭に入ってこななかった。反省。

2011年7月2日土曜日

【読書メモ】江戸の卵は1個400円! モノの値段で知る江戸の暮らし (光文社新書)


 成毛さんの書評で紹介されていたもの。また江戸モノを読んでます。

 この本は、結論から言うと、とても面白かった。江戸時代の値段にフォーカス当ててますが、単に貨幣価値だけでなく、当時の暮らしぶり、風俗にも触れていて、それに値段が加わるとより、リアルに想像できます。

【読書メモ】かぜの科学―もっとも身近な病の生態

かぜの科学―もっとも身近な病の生態
ジェニファー アッカーマン
早川書房
売り上げランキング: 2941

 成毛さんの書評Blogで紹介された本。

 この本を読んでみると、風邪に関する決定的な治療薬はないようです。市販されている薬は、あくまで風邪によって引き起こされた体の反応(のどが痛い、咳、クシャミ、鼻水)を抑えるもの。無数にある風邪ウィルス全てに効果的な特効薬はまだないようですね。

 あと、巷に出回っている各種サプリメントのたぐいも規制がかなり緩いので要注意ってことを肝に銘じておきます。

2011年6月20日月曜日

【読書メモ】博士のエンジン手帖―エンジンはほんまはこうなっとる! (モーターファン別冊 MFi叢書)


 この本は、マツダの元技術者で現在は自らエンジン研究所を立ち上げている畑村氏によるエンジンに関する蘊蓄(笑)。読んでいると、小排気量+過給器をプッシュしていることがよくわかる。どうも、マツダのSKYACTIVEもその性能を評価しつつ、なにか言いたそうなそんな気がする。。。

 自動車雑誌に載っている内容より一歩踏み込んでいる。当然、その手の本は他にもあるけれど、この本の面白いところは、時代背景を踏まえてメーカーの戦略、設計思想に踏み込んでいるところ。なぜこの時期のこの車種に、このタイミングでこのエンジンなのかなど。こういうことがわかれば、自動車メーカーの新車販売もメーカー戦略の観点からいろいろ探ることができる。この辺知っておくと、ディーラーでの営業さんと会話弾む。。。かもしれない。
 

2011年6月19日日曜日

【読書メモ】言葉の力 -   「作家の視点」で国をつくる (中公新書ラクレ)

言葉の力 -   「作家の視点」で国をつくる (中公新書ラクレ)
猪瀬 直樹
中央公論新社
売り上げランキング: 220

 この本は、猪瀬氏のツイッターで知った。まぁ、ある意味新しい広告媒体にハマったわけですが、この本は「言葉」にフューチャーしているところで興味を持った。

 猪瀬氏は読書離れを憂いている。「一冊の本を読むことは、2〜3時間他者の述べている事を我慢して聞くことと同じ」ということで読書を奨める。今、自分は読書にハマっているし、読書についていろいろ思うところもあるけれど、こういう見方もあるのかと思った。

 単に知識を身につけるだけではない、いろいろな楽しみがあるわけですね。

【読書メモ】とんでもなく役に立つ数学

とんでもなく役に立つ数学
西成活裕
朝日出版社
売り上げランキング: 740

 ちょうど、この本のまえがきを読みすすめると「渋滞学」って文字があったので確認すると、今読んでいる本のなかに「渋滞学」がありました。あらら、作者一緒だ。

 たぶん、これが基礎。まずは、概念から。数学の地図ってところがよかった。これをとっかかりにいろいろ数学関係の本を読み解いていこうと。本書は読み易くていいです。作者が同じなせいか、渋滞学のこともちらほら出てきます。

【読書メモ】日本人とユダヤ人 (角川文庫ソフィア)

日本人とユダヤ人 (角川文庫ソフィア)
イザヤ・ベンダサン Isaiah Ben-Dasan
角川書店
売り上げランキング: 55505

 本書は、「日本人は安全と水はただで手に入ると思っている」という有名な言葉の元となった本。今更ながらに読了。日本人の危機管理がネットで叫ばれているなか、ネット(フェイスブック)で紹介されていた明治大学 向殿先生の論文で名著として紹介。これは読まなきゃ。

 諸外国、特にアメリカと日本を比較する本はいろいろ出ているけれども、一方的日本をけなすだけで、解決策を示さない本が目に付くような気が。。。。単なる◯◯かぶれな本が目につくようになった。

 この手の本は、つまるところ、戦勝国から見た敗戦国って感じなのかな。または、西洋から見た東洋。先進国から見た後進国みたいな。どうしても、上から目線になってしまう。結局、「日本は駄目だ」ってことで結ばれる。何も知らない学生時代の僕は、アメリカかぶれになっちゃうわけではないけど、影響は受けたであろう。でも、この本はユダヤ人による著作。歴史的な背景を抜きにして第三者視点で語ってくれていると思う。

 そもそも、本書を手にとったきっかけは、今問題になっている福島原発の国のあまりにお粗末な対応から、「日本と欧米の安全思想の違い」というのが自動車ジャーナリスト:清水和夫氏のフェイスブック上でリンクされていた。ここで、引用されたいた明治大学 向殿先生の論文にもあった、「日本人は安全と 水は無料で手に入ると思い込んでいる」から興味を持った。

 この本にはいろいろと気づきがあって、長文になりそうだけど、手短にいくつか抜粋してメモってみる。
 日本人は計画的に物事を遂行するのが得意。納期もきっちり。(自分はそうでもないような気がするが。。。(笑))これは、中世の日本人の80%が農民だったことに由来するのかもしれない。農民は自然相手に分刻みのスケジュールを立てなければ収穫ができない。
 日本人は「人間」・「人間的」・「人間味あふるる」といった意味の人間という言葉を基準とした一つの立法を持っている。そしてこれを崇拝する宗教を信仰している。これにはとても関心させられる。この本を読んで最も納得したところ。この理屈で行けば、洋風で結婚式を挙げ、和風で葬式を執り行う日本人のこともなんとなく納得がいく。人間らしければ良いのです。もっと早く読んでおけばよかった。。。

2011年6月12日日曜日

【読書メモ】失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)
戸部 良一 寺本 義也 鎌田 伸一 杉之尾 孝生 村井 友秀 野中 郁次郎
中央公論社
売り上げランキング: 107

 この本は、成毛眞さんの「本は10冊同時に読め!」で紹介されていた本。今年のベストかも。歴史も学べて、組織論もわかる。一粒で二度美味しい。
 現場(兵士達)は素晴らしい、けれどもそれを操る側がまるでダメ。なんか今の福島震災の政府の対応と似ているような気が。。。。自分自身、漠然と事実しか知らなかったノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦などの位置づけ、そして、経緯が克明に書かれている。本の厚さと表題に、正直最期まで読み続けられるか自信がなかったけど、読んでみるとその世界にのめりこんでしまう。
 分析の中で取り上げられる内容、グランドデザインの欠如、人情論に左右される組織決定、戦略目的の不統一などなど、他にも色々あるけれど、会社の組織をどうするかにも通じるものがある。

 しかし、これを読んでて強く思ったのは、第一線の兵士は、これらの問題のせいで命を失ってしまわれたことを思うとなんともやりきれない。

【読書メモ】いまだから知りたい 元素と周期表の世界 (じっぴコンパクト新書)

いまだから知りたい 元素と周期表の世界 (じっぴコンパクト新書)
京極 一樹
実業之日本社
売り上げランキング: 19136

 東日本震災以来、放射能に敏感になり、「日本は原子爆弾をつくれるのか」を読んだ。そこから、周期表の知識を深めるためにたまた小飼弾氏の書評ブログで紹介されてたのが本書。

 この本は、周期表の元素それぞれにページを割いている。飽きちゃうかと思ったけど最後まで読めました。一つ一つの元素についての解説はもちろん、材料共有の背景なども書かれてて興味深い内容。一回読んでおしまいじゃなくて都度参照する辞書みたいに使ってもいいと思った。

【読書メモ】環境を“感じる”―生物センサーの進化 (岩波 科学ライブラリー)

環境を“感じる”―生物センサーの進化 (岩波 科学ライブラリー)
郷 康広 颯田 葉子
岩波書店
売り上げランキング: 110260

 この本は、一年前に成毛さんの書評で紹介された本。長らく購入候補リストに入っていたけど他の本を読んでいてなかなか買えなかった。今回やっと購入。

6/14 追記
 本ブログにリンクも貼らせていただいている森山和道氏の書評サイトにも最近取り上げられてました。

 やや薄めの本だけど、値段はそこそこ。見る、聞く、嗅ぐといった感覚器について書いてある。色覚異常についての下りは興味深い。色覚異常は女性よりも男性のほうが多い。女性はX染色体を二つ持つが男性はXとYそれぞれ一つづつ。色覚異常でもっとも多い赤型オプシン、緑型オプシンはいずれもX染色体上に存在するから。
 他にも、辛さを感じる器官は味覚ではなく温度を感じる感覚器であることなど。
 比較的噛み砕いて説明してくれてるから読みやすい。

2011年6月5日日曜日

【読書メモ】渋滞学 (新潮選書)

渋滞学 (新潮選書)
渋滞学 (新潮選書)
posted with amazlet at 11.05.30
西成 活裕
新潮社
売り上げランキング: 9325

 この本は、成毛眞さん主催の「本のキュレーター 勉強会 第4回」で紹介された本。当日の様子を伝えるブログは(リンクあり)、東えりかさんの書評ブログ「本読みの理不尽」を読んで、興味を持った。

 最初、本書を手にとったときはクルマの渋滞について書かれている本かと思ったけど違った。渋滞というメカニズムに焦点を当てている。だから、クルマの渋滞の他にも人の渋滞やアリの渋滞、はてはインターネット上の情報の渋滞にも触れている。

 そして、渋滞を表すモデルとして、ASEP(エイセップ)やセルオートマトンといったモデルを紹介している。渋滞は、ニュートンの基本三原理(慣性の法則、作用=反作用の法則、運動の法則)が適用できない点で難しいらしい。なぜなら、渋滞を構成するひとつひとつの要素(人や車など)が意思を持って動くから。なるほど。

 個人的には、満員電車から出ようとしてもなかなかでられないのは「アーチアクション」によるもので、すごく納得。めがね橋はこの力を応用したものとのこと。今度、友人との酒のみネタとしよう。(笑)

2011年6月1日水曜日

【読書メモ】臓器は若返る メタボリックドミノの真実 (朝日新書)

臓器は若返る メタボリックドミノの真実 (朝日新書)
伊藤 裕
朝日新聞出版
売り上げランキング: 99983

 この本は、成毛さんの書評で紹介された本で、僕は、4ヶ月ほど前(2011年2月)に読了。参照する機会があったけどメモってなかったので遡って掲載。ちなみに、著者の伊藤氏はこの後も読んだ『腸!いい話』の著者でもある。

 体内でエネルギーを発生させるミトコンドリア。そこでのエネルギー生成の過程を丁寧に教えてくれる。無酸素状態で消費させるブドウ糖によるエネルギー生成と、有酸素で消費される脂肪燃焼による生成。この部分を読むだけでも、ジョギングがダイエットにとても有効であることがわかる。

2011年5月29日日曜日

【読書メモ】ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)
堤 未果
岩波書店
売り上げランキング: 1240

 この本は、小飼弾さんの書評サイトでかなり前に紹介されてます。(なんでこの本を知ったかは失念。。)

リーマンショックでアメリカ経済はガタガタという漠然とした印象しか持っていなかったけど、この本を読んで(大)ショック。

 アメリカでは盲腸の入院費用が一日243万円って。。。愕然です。貧困で体が細いイメージですが、アメリカでは貧困は、肥満になること。ジャンクフードを見る目が変わる。。。

 一番ショックだったのは、日帰り出産!出産してその日に退院って自分では信じられない。理由は、入院費用が払えないから。なんとも。。。。ちなみに、アメリカは先進国中、乳幼児の死亡率が最も高い国です。このデータもちょっとびっくりだ。もうアメリカは世界のアメリカなんて言ってる場合じゃないってことなのかな。

 貧困のために、軍に入隊ってのもある。これがアメリカであるってのが驚き。貧困とは直接関係無いけど、コンピューターゲームも軍への勧誘を担ってる。そういや、携帯端末の位置情報を強制的に記録してたな。多分これもそうかな。

 資本主義の原理を何でも適用すればいいというわけではないということをアメリカが証明したような気がします。

【読書メモ】ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉 (岩波現代文庫)

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉 (岩波現代文庫)
リチャード P. ファインマン
岩波書店
売り上げランキング: 7575

 成毛さんが強力にプッシュした科学読物。そしてこのメモを書いているときにふと松嶋正剛氏の書評サイトをみると、氏も「読むべき」と念を押している。著名な書評家にも好評のよう。

 そして、ワタクシはすでに上巻を読了。この手の本は苦手で途中で投げ出さないかと思ったけど、面白い。読んでいて電車の中で吹き出しそうになりました。ただ、下巻はどうかな。。。。厚さもそこそこあるしと思ったけど、杞憂。読みだすとやっぱり面白くてあっという間に読んでしまった。(個人的に、上巻同様、岩波文庫の紙の感触をすごく気に入っている)