2014年2月23日日曜日

【読書メモ】『脳には妙なクセがある』

脳には妙なクセがある
脳には妙なクセがある
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池谷 裕二
扶桑社
売り上げランキング: 17,854

著者は池谷裕二氏。『進化しすぎた脳』や『脳はなにかと言い訳する』など、脳に関する著書をいろいろ書いている。本書は身近なところから脳に関する「へえ〜」と思える話を脳科学の研究データからわかりやすく解説してくれる本。

過去にジャンルを問わず読んだ様々な本では、「手で書いたほうが物事をよく覚えられる」とか、「ランニングなど、体を動かすことは脳にも好影響を与える」とか、「入力よりも出力が大事」ということが書いてあった。本書を読んだ後、それら全てのことがひとつに繋がった。個人的にはとても目からうろこであった。

人間の脳は脳幹や小脳、基底核からなる旧脳の周りを大脳新皮質が覆っている。身体と密接な関係をもつ旧脳に対し、大脳新皮質はあまり関連がない。著者はこの構造をさして大脳新皮質は「身体を省略したがる」という。進化に伴い、考えることが中心に据えられたような構造である。
しかし、そんな「身体を省略したがる」脳をもつわれわれに身体経験の重要性をさまざまな研究事例を通じ説いていく。

たとえば、暗記。頭で暗記するよりは実施にテストを通じアウトプットを繰り返したほうが暗記の定着率は良いそうだ。テストをして間違えたら間違えたところだけやるよりも全てをもう一度テストし直したほうがいいとのこと。今後の勉強に役に立てそうである。

また、笑顔の例では、無理にでも作った笑顔は印象を良くしてくれるらしいし、自らの気分も良くしてくれるそうだ。形から入るのもいいかもしれない。

ランニングが体にいいという話は『よみがえる脳』や『臓器は若返る』にも書いてあるとおり。本書では身体を能動的に動かすことほうが受動的に動くことよりも脳の活動がより活発になるということがマウスの実験から示されている。自ら動いてランニングをすることは脳を活発にしてくれるそうです。

2014年2月16日日曜日

【読書メモ】『いじめの構造―なぜ人が怪物になるのか (講談社現代新書)』

いじめの構造―なぜ人が怪物になるのか (講談社現代新書)
内藤 朝雄
講談社
売り上げランキング: 13,160

学校という環境は特殊で世間の常識が通用しないところらしい。本書を読んだ後の最初の感想である。凄惨ないじめとそれを発端とした自殺。その加害者たちは呆れるほど平然と、悪びれることもなく自らの罪について語る。そこには反省というものは一切感じられない。

本書は、実際にあったいじめによる事件について状況を事細かに分析していく。読んでいてやや難しかったが、学校という環境が世間から見ていかに異常な環境であるかが伝わってくる。世間の常識は当てはめられない。学校も当てに出来ない。(学校はむしろ隠蔽に奔走する)読んでいて何ともやりきれなくなる本である。

【読書メモ】『新版 家を買いたくなったら』

新版 家を買いたくなったら
長谷川高
WAVE出版
売り上げランキング: 515

家を買うべきか、賃貸にすべきかをちょっと考え始めた時に読んだ本。本書はそんな時に家を買うことのメリット、デメリットを解説する。賃貸には移動の自由というメリットがあるのはなるほどと思った。実際にはそう頻繁に引越など出来ないけれども。

家も戸建てかマンションか、中古かも含めてそれぞれの利点、欠点を解説してくれる。
一方で、家を購入するにあたって注意すべきところを家のタイプ別に解説してくれている。こちらは実際に購入を決意した際に見ておけば参考になると思う。

2014年2月11日火曜日

【読書メモ】レイヤー化する世界―テクノロジーとの共犯関係が始まる (NHK出版新書 410)

佐々木俊明氏による新書は新書といいながらその分量と内容の濃さに圧倒される。本書も読み進めるうちにちょっとした世界史を紐解くことになってお腹いっぱいの内容。巻末の参考文献の多さに驚く。

第三の産業革命を迎えているらしい。そこでは人口も増えないし、劇的な技術革新もなく、なんといっても雇用が生まれない。正確には雇用は海外の新興国へ流れていく。だからお給料もこれ以上増えない。むしろ、下がる。頑張らないと今の職も危ないよと。 なんとも寒々しい。これはウチとソトの関係が崩れたことによるものらしい。

ウチとソトというのは「国内」と「国外」という国を隔てる境界線で、それが崩れていると。そして、これからは「場」を提供する側とされる側の関係になる。それまでウチとソトの関係が崩れレイヤーという層になっていくと。レイヤーとは、個々人が持っているいくつかの側面のようなものと読み取った。趣味での自分、仕事での自分、家族での自分。これからは個人のそれぞれの(レイアーでの)自分を表現することが多くなる。そして、表現のする「場」がSNSであり、そこではさらに、国内と国外という関係が崩れ、世界的にフラットになっていく。

本書では「場」を提供する代表的企業としてアマゾンやfacebookが挙げられている。世界横断的にものを販売するアマゾンと世界横断的にSNSを提供するfacebook。われわれはそれらを利用する「提供される側」だと。一方で納得できるものの、もう一方で「ん?」という自分がいる。身近に自分の親をみるととても当てはまるとは思えないからだ。(というか、自分の親世代はもう当てはまらないのかもしれないが)

本書では、そんな寒々しい(笑)第三の産業革命で上手く立ちまわる方法を示していないが、まずは認識しておきましょう、という。そして、今までの考えを変えていきましょうと。最近、こんなのばっかりだな(笑)。まあ、考えを変えなければならないのは今に始まったこと無いなぁと思う今日このごろ。いままでの常識、固定観念をあらためないといけないなと強く感じた一冊です。

【読書メモ】腸!いい話――病気にならない腸の鍛え方 (朝日新書)


本書は腸のお話。著者の伊藤裕氏は慶応大学医学部の教授で他に『臓器は若返る』がある。はて?どこかで聞いたことがあるような・・・・それに本書に出てくるイラストにも見覚えがあると思ったら、すでに読んでいたのであった。

腸は最も身近な臓器で、健康増進にも密接に関わっていることが書かれている。最も血液を使う臓器であり、老化の兆候が早くから現れるのが腸である。腸に関しては別の本『火の賜物』の著者R・ランガムも人間と動物の腸の違いについて引用されている。(これも読んでた)人間の腸は他の動物にくらべてサイズが小さい。その理由は、人間が火を使って食べ物を調理するようになったからというもの。その結果、腸へ振り分けられている文の血液を人間は脳に振り分けることができるようになり、脳の進化へとつながっていく・・・腸の役割は人間の進化にも影響を与えたのかもしれないというのだ。

メタボも、腸が関係する。なるべく腸を動かすようなも加工されていないものを食べたほうが腸がよく動いてカロリーを消費してくれる。だから、カロリー高めで消化に優しい物はもっともメタボへの近道になる。これからは生野菜を多く食べようと思う。

本書を読んで一番印象的なところは免疫系と腸との関係。リンパ球が作る外敵を排除するための武器である「免疫グロブリン」の半数は腸管で産生されている。腸は外部からものを体内に入れる「食べる」という行為でもっとも危険にさらされるからである。

腸の働きを良くする食べ物。それは食物繊維。食物繊維は便通を良くしてくれる。便の量を増やしてくれる。それは、腸をある程度引っ張ってくれることで腸の筋肉を刺激してくれる。

また、水に溶ける食物繊維は腸内でゲル状になり、糖や胆汁を吸着してくれる。その結果、血糖の急上昇を抑えてくれる。コレステロールから作られる胆汁を吸着するので、コレステロール値も下げてくれる。

食物繊維の豊富な食べ物は豆類、穀類、野菜(たまねぎ、大根、ごぼうといった根もの)、ナッツ類、くだもの、海藻。これらをたくさん食べて腸をいたわろうと思う。