2017年8月12日土曜日

【読書メモ】『「年金問題」は嘘ばかり ダマされて損をしないための必須知識』

何かとお騒がせな年金問題。筆者も払い続けているけれども、テレビでは不安を仰ぐニュースばかりで、果たして年金は払ったほうがよいのか、損なだけなのか。素人の筆者にもわかりやすい説明をしてくれる。
本書では、年金の基本的なこと、そして、年金は危ないのか、大丈夫なのか。年金にまつわる過去の不祥事の著者の解説と、著者による年金商品のアドバイス。手っ取り早く年金について知りたい人は読みやすくていい。
「ねんきん定期便」は、国による年金払込のレシートだから大切に保管しておきましょう。

【読書メモ】『人工知能と経済の未来』

人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊 (文春新書)
井上 智洋
文藝春秋
売り上げランキング: 1,324
筆者が本書を読んだ2017年もAIが今話題だ。企業研修でも「AI」と「イノベーション」と「働き方改革」、この3つの単語を使ったタイトルのものが多くなってる。
本書は、AIについての説明はもちろん、今後のAIの発展の予測、そして、それに伴う経済への影響を描く。単なるAI モノの本にとどまっていない点が、本書の読み応えあるものにしている。経済学の本を少しでも読んだことがある人なら、後半の内容は著者の意見と自分の意見を対比させながら読むだけでも楽しめる本だ。
AIは、人間の脳にどこまで迫れるのか。そして、将来どこまで進化するのか。
AIが進化した結果、我々の仕事はどのように変わるのか。(奪われてしまうのか)
そして、経済へどのような影響を与えているくのか。
AIによって仕事を奪われたら、我々はどのように所得を得て暮らしていくのか。
読んでいきながら、自分なりのイメージと対比させながらあーだこーだ想像をふくらませるのが楽しい。

2017年4月8日土曜日

【読書メモ】『戦争論』

日本人だけが知らない戦争論
フォレスト出版 (2016-03-31)
売り上げランキング: 48,448
戦争は通貨発行権と信用創造権を得るためにヨーロッパの大銀行家が引き起こしている・・・本書はこれらの説をイングランドの名誉革命の背景をたどりながら、フランス革命、長州戦争および戊辰戦争(明治維新)にそれぞれに起きたことにあてはめながら検証していく。

これらには驚くほどの共通点があり、いずれも、革命あるいは戦争終了後に政府銀行が設立されること見ることができる。 イングランド銀行(イギリスの中央銀行)、フランス銀行、日本銀行である。これらの政府銀行は通貨発行権、信用創造権を持っていて、それらの政府銀行の株主は政府以外に民間の株主で構成され、端的には、その民間の株主には、ヨーロッパの大銀行家がかかわっているということらしい。

そして、第一次第二次世界大戦は通貨発行権の行使のための戦争だという。金本位制をとっていた戦争当事国は膨大な戦費を調達するため、ドル建てで貿易を行い、必要な物資を調達する必要がある。そのため、自らもドルを持つ必要があり、そのためにはFRB(アメリカの中央銀行)からドルを調達するため、金と交換した。つまり、世界中の金がFRBに集まるということだ。

本書では、戦争を感情的に否定するのでなく、こういった世界の事情・事実に基づいて冷静に捉えることが大事であると説く。説得力もあるし、至極最もだが、 ただ、残念なのが、本の帯書き。著者の著作を他にも何冊か購入して読んで面白いと感じる反面、個人的に帯書きの文句が少し大げさで、胡散臭く感じられてしまうのが惜しいな~って。

2017年3月26日日曜日

【読書メモ】全世界史I、II

「全世界史」講義 I古代・中世編: 教養に効く!人類5000年史
出口 治明
新潮社
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紀元前3000年(B.C.3000)から1400年ごろまでをアジア、ヨーロッパといった各地域に焦点を当てながら歴史を現代にたどっていく。単に歴史のをなぞるだけでなく、歴史の背景を紐解いていき、どうしてそのようなことが起きたのかを分かりやすく解説しているので、読者を飽きさせない。読みながら点の知識でなかった様々な歴史の出来事が線でつながれていく感触を味わいながら読み進めることができる。

「全世界史」講義 II近世・近現代編:教養に効く! 人類5000年史
出口 治明
新潮社
売り上げランキング: 29,091
『全世界史 I』の続編で、1400年~2000年までを振り返る。巻末に索引があるのでちょっとしたときに読み返すこともできる。参考文献の量には圧倒される量。著者の出口治明氏の読書量に脱帽せざるを得ない。

2017年3月25日土曜日

【読書メモ】経済で読み解く織田信長

個人的に御朱印を収集するが、本書を読んだ後は、豪華なお寺を訪れるたびに、「貿易でうまく稼いだんだろうなきっと」と心のなかで勘ぐってしまうようになってしまうかもしれない。

本書は室町時代、日明貿易から応仁の乱を経て織田の無長野天下統一までの歴史を貨幣量から当時の経済情勢を探る。そこには、当時の貿易に寺社が密接にかかわっていたこと、そして、その寺社が貿易を通じて強大な勢力であったことが垣間見える。

比叡山、臨済宗、本願寺など、歴史の授業では、受験勉強で覚える一つの単語に過ぎなかったこれらの寺社勢力が、どのような駆け引きを展開して歴史上のイベントへのつながっていくのか、日本史を勉強した人ならそれだけでもぐいぐい引き込まれていくだろう。

経済の視点で歴史を振り返りつつ、日本史の復習と整理もできしていまうというありがたい(?)本だ。巻末の参考文献もかなり興味深い著書が並んでおり、思わずAmazonでポチってしまいたくなりそうな本ばかりでかなり危険だ。

著者の上念司氏は、本書のほかにも経済の視点で歴史を紐解く『経済で読み解く~』のシリーズ(『経済で読みく明治維新』と『経済で読み解く大東亜戦争』)を出しており、こちらも歴史本としてなかなか面白い本だ。

2017年3月24日金曜日

【読書メモ】世界の技術を支配するベル研究所の興亡

世界の技術を支配する ベル研究所の興亡
ジョン・ガートナー
文藝春秋
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トランジスタ、海底ケーブル、電話、シリコン、ネットワーク・・・これらは今では当たり前、生活を支える根幹の技術といっても過言ではない。これらはすべて一つの研究所で生まれた。

本書は、かつてのアメリカにあった独占電話会社、AT&Tの研究開発を支援するために設立されたベル研究所にスポットを当て、様々な技術が生み出される1930年代から終焉を迎える1984年にかけて、”選りすぐりの”人材にスポットを当てて描いていく。

本書を読めば、様々な偉大な発明はどのような人物が発明したのか、そのような人物が務めるベル研究所とはどのようなところかを垣間見ることができるだろう。そして、時代が過ぎ、大きくなりすぎたベル研究所は、大きくなったが故のジレンマを抱え、1984年には分割されて事実上、終焉を迎える。

すべての通信は情報という観点度とらえることができる。すべての情報はビットで表せる。ビットで測定する情報は数学的に0と1で表すことができる。

今では当たり前の概念だが、クロード・シャノンが考えたこの概念は衝撃的な発明であった。通話も映像もすべてが同じ0と1であらわせる。ということは、同じ手段でやり取りができるということである。これは、今のインターネットに通じる概念だ。

400ページを超える本だが、あっという間に読み切ってしまうだろう。

2017年3月20日月曜日

【読書メモ】さらば白人国家アメリカ

さらば白人国家アメリカ
さらば白人国家アメリカ
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町山 智浩
講談社
売り上げランキング: 34,145
共和党の支持層である白人の割合は国勢調査によるとアメリカ国民の62%。2060年には44%に減少する。一方でヒスパニック系は16%から30%に倍増する。これは共和党支持層が確実に減少していることを表す。そんな状況のなかで、大統領選に立候補した共和党、民主党の候補者は何を訴えたのか。 本書では、トランプに敗れた共和党・民主党の個性的な候補を紹介していく。候補者の現地でなければわからない面白情報がたくさん詰まっている。しかし、各候補者の言い分、めちゃくちゃ。

個人的には、ハマーン・カーンの由来がわかって面白かった。 日本で語られるアメリカの情報は主に保守系シンクタンクが情報源であり、その一つ、ハドソン研究所の創設者、ハーマン・カーンという名前。どっかで聞いたことがあるなと思ったらZガンダムのあの人の名前の由来だった。この人、ドゥームズデイ(世界破滅)装置の発案者。敵の核ミサイル攻撃を一発でも受けたら自国のすべての核ミサイルを発射して地球滅ぼしちゃうというやばいやつです。

本書の著者は映画解説でおなじみ、町山智浩さん。本書は、月刊誌『クーリエジャポン』のエッセイをまとめたもの。