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2015年1月5日月曜日

読書メモ『なぜ時代劇は滅びるのか (新潮新書)』

なぜ時代劇は滅びるのか (新潮新書)
春日太一
新潮社
売り上げランキング: 2,153

刺激的タイトルだ。時代劇が”滅びる”ことが前提であるかのようである。だが、それは本書で語られている事実で明らかになる。時代劇に何を求めるか。本書読んですごく腑に落ちた。

昔は何気なくチャンネルを合わせた再放送の時代劇に気付いたら最後まで観てしまったということがあったが、最近は違和感ばかりが目立ってしまってチャンネルを合わせることすら無くなってしまった。この違和感が、単に自分だけが感じていた違和感かと思ったが、演出、キャラクターの描き方、配役など、本書を読み終わった後に「やっぱりそうだったのか」と納得した次第である。

1996年 テレビ東京
1997年 日本テレビ
2003年 フジテレビ
2007年 テレビ東京
2011年 TBS

上記は民放テレビ局における時代劇レギュラー枠廃止の変遷である。2011年のTBS最後の廃止とは、ご存知『水戸黄門』の終了である。
本書では60年代の映画時代劇より時代劇の衰退を順を追って解説している。

衰退の原因は様々語られているが、例えばプロデューサー。ある時代劇プロデューサー曰く、

”視聴者が、もういいと言わない限り黄門さまは偉大なるマンネリ街道を歩み続ける。いわんや高齢化日本の現実はその歩みを止めることを許さない”

”『水戸黄門』が高齢化社会の応援歌になるのなら、私は人になんと言われようと『水戸黄門』を作り続ける”

これは『水戸黄門』の著名プロデューサーの言葉である。時代劇の対象は高齢化世代であることを明言しているのである。

本書では時代考証についても触れている。時代考証はどこまで重視すべきか。個人的に疑問に思っていたが、それは時代劇に何を求めるかを考えれば自ずと答えが出てくる。時代考証に充実であればあるほど、それは歴史書と変わらなくなってしまう。図書館で歴史書を読めばいいのである。一見あたりまえだが、読んでなるほどと思わず膝を叩いた。

どうしようもなく憎たらしい悪役をバッサバッサ切っていくようなスカッとする時代劇をもう一度見たいものである。

2014年12月27日土曜日

【読書メモ】『暴露:スノーデンが私に託したファイル』

暴露:スノーデンが私に託したファイル
グレン・グリーンウォルド
新潮社
売り上げランキング: 4,955

アメリカ国家安全保障局(NSA)が行っていた国民電子通信の監視活動とそれらが実際に公にされるまでにあったいろいろな実態がわかる一冊。すでにニュース等でも有名になってしまったエドワード・スノーデン氏による暴露情報全貌をまとめたものである。

本書を読むと、その監視活動が実に、巧妙に、厳格なルールのもと実行されていることに驚くだろう。公開文書には、システムの概要図のようなものまであり、資料の内容の一端がわかるので、IT業界に携わる人なら、単純に、NSAという公的機関がシステム要件をどのようにしてドキュメント化しているか、興味深い内容になるかもしれない。
そして、このようなリークは我々に真実をもたらす一方で情報公開者に対するメディアの想像を超えるネガティブキャンペーンのすさまじさにも驚くことのなる。

例えば、NSAはネットで利用している各種無料のサービスを提供する企業(マイクロソフト、ヤフー、グーグル、フェイスブック等)から監視に関する情報の提供を受けていることがわかる。うすうす感じている身とはいえ、やはり驚くべき内容だ。

また、国家間の情報戦争なんて言葉が現実味を帯びる事実も本書には提示されている。例えば、関係国との情報に関するやりとりについてだ。関係国をその強力の度合いにより三つのカテゴリに―ランクしている。三つのカテゴリはファイブアイズ同盟国>協力するけど監視もする国>監視国といった具合。ちなみに、日本は三つのカテゴリのうち残念ながらファイブアイズ同盟国には入っていないようです。戦争はしないけど経済ではいろいろバチバチですからなってことで。

また、ネガティブキャンペーンについてもトーク番組で司会者が公然とスノーデン氏や、事実を公表した著者自身にも及ぶ。あるTV番組では根も葉もないデマ情報を元に司会者が公然と人格非難・否定を行うのである。(その後正式に謝罪するところもあれば全くしないメディアもある)
この辺りは、以前アメリカの選挙に関する本を読んだ時にも感じたが、そのでっち上げぶりが見事なぐらい徹底していて、あきれてしまう。

本書は個人にとって便利(かもしれない)なITが国にとっても便利に使われてますよということを知らしめてくれる本である。また、日本を含め、あらゆる国々でも同様のことが行われていると見るべきであるだろう。

2014年12月6日土曜日

【読書メモ】『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか? エネルギー情報学入門 (文春新書)』


「埋蔵量」とはなんだ? それを理解するにはまず「資源量」を理解しないといけない。「資源量」は地中に存在する「炭化水素量」を指す。それは発見度合いによって「未発見資源量」から、「推定資源量」そして「原始資源量」と三つに分けられる。「埋蔵量」はこの「原始資源」のうち技術的に回収可能な資源量のことである。

説明はさらに続く。「埋蔵量」も厳密には三つある。「予想埋蔵量」、「推定埋蔵量」、「確認埋蔵量」とあり、一般的にいう「埋蔵量」は「確認埋蔵量」のことを指す。やっかいなのは、この「埋蔵量」回収可能な資源量だから、発掘技術の進歩によってその量は増えていく。昔は石油は後30年なんて言われていた時期もあったけれど、今ではもう少し伸びているのはこのためだ。今後採掘技術が進めばこの数字はもっと伸びるだろう。つまり、後何年で枯渇しちゃうって話は確定ではないんですな。

本書では石油発掘の歴史から、代替エネルギーとの比較も含めて、分かりやすく書いてある。原発が止まっている今、やはり石油に依存せざるをえないのか?代替エネルギーはどうなのか?

残念ながら、まだまだ石油にはお世話にならざるをえないようだ。輸送効率、エネルギー埋蔵量、コストの面でもまだまだ石油が圧倒的に有利なようだ。

今後の日本はどのようなエネルギー政策をとるべきか。その点について考える時、筆者は日本がどのような国であるべきかを視点で考えることが大事だと訴えている。
やはり自国にエネルギーがあるのは有利だな〜

2014年8月17日日曜日

【読書メモ】『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』

紙つなげ!  彼らが本の紙を造っている
佐々 涼子
早川書房
売り上げランキング: 309

本書は、震災で破壊された日本製紙石巻工場の生産ラインが復旧するまでを描く。本書を読んで、以前読んだ『兵士は起つ:自衛隊史上最大の作成』を思い出した。

本書を読み終わった後に、つい、本書の紙質を手で触ってその「触感」を確認してしまった。紙は、出版される本の読者や用途に応じて繊細な「調成」を経て作成される。製紙会社には紙の作り方を記した「レシピ」と呼ばれるものが存在するらしい。それほど紙の作成にはノウハウが必要なのだ。

日本製紙は日本の出版用紙の約四割を担っている。その日本製紙の石巻工場は主力工場である。同工場にある8号抄紙機と呼ばれるものからは、以下の作品が生み出される。

・村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
・百田尚樹『永遠の0ゼロ』
・沖方丁 『天地明察』
・東野圭吾『カッコウの卵は誰のもの
単行本
・『ONE PIECE』
・『NARUTO―ナルト―』

どの作品も一度は聞いたことのある作品であると思う。

本書では、復旧にあたる従業員の姿が描かれる。工場を復旧させるにあたり、どの機械から復旧させるのか、期限の設定はどのようにして決定されたのかなど、情熱だけでなく、企業としてシビヤな、冷静な見方をしつつ、設定されたことがわかる。

一方で、遺体の発見や収容の光景など、復旧時に遭遇する震災の生々しい描写も描かれる。ちなみに、日本製紙石巻工場では、工場敷地内で41名の遺体が発見されている。

電子書籍が便利だなと思っていたが、ふと、紙質を味わうっていう楽しみ方もあるのかと考えさせられた一冊である。

2014年7月14日月曜日

【読書メモ】『絶望の裁判所 (講談社現代新書)』

絶望の裁判所 (講談社現代新書)
瀬木 比呂志
講談社
売り上げランキング: 675

著者は元裁判官で、執筆も多数。本書は元裁判官である著者が現在の日本の裁判官と裁判所制度について問題点を指摘している。その姿勢はとても悲観的だ。

著者はアメリカに留学経験があり、アメリカの裁判制度を身近に感じる機会を得ている。そのことが日本の裁判制度の問題点をよりはっきりと浮き立たせてるのではないだろうかと個人的に思う。

著者は裁判制度の問題点は、裁判官を取り巻く環境にあるとしている。裁判官は世間から閉ざされており、限られた中で実績を上げることを求められる。 そして、実績が挙げられない裁判官は冷遇される。
我々にとって画期的判決を出した裁判官が必ずしも高く評価されずむしろ冷遇される環境にあることが問題であると。

ただ、絶望するばかりでなく、これらの現状を改善する案として、著者は、弁護士の有効活用を訴える。弁護士が裁判官になることを認めるというもの。弁護士には優秀な人が多いというのがその理由。

個人的に、腐敗が進む組織というのは、共通して第三者機関による客観的かつ強力な権限を持った評価機関が無いということにあると思う。
また、選挙時の「最高裁判所裁判官国民審査」ももう少し制度の改善の余地があると思うのだが。

2014年5月5日月曜日

【読書メモ】『コミュニケイションのレッスン』

著者は鴻上尚史氏。演出家、映画監督、小説家等色々な肩書を持つ。コミュニケーションの本は書店のビジネス本コーナーにいけば沢山売られているが、僕は演技に携わる人がコミュニケーションについてどんなことを書いたのか興味があった。

本書にはコミュニケーションの基本的なことが書いてあるが、僕はなかでも話を「聞く」について触れているところが読んでいてとても興味深かった。やはり、誠実に話しを「聞く」事が大事なんだなと。

「話は聞いているんだけど、コミュニケーションがうまくいかないなぁ」と悩んでいる人は解決策へのヒントになるだろう。自分が思っていることと相手が感じ取ることは違うのである。

緊張しているときはお腹に力を入れて話して(聞いて)みるのがいいらしい。他にも、「世間」と「社会」についての内容はなかなか興味深い。

2014年2月16日日曜日

【読書メモ】『いじめの構造―なぜ人が怪物になるのか (講談社現代新書)』

いじめの構造―なぜ人が怪物になるのか (講談社現代新書)
内藤 朝雄
講談社
売り上げランキング: 13,160

学校という環境は特殊で世間の常識が通用しないところらしい。本書を読んだ後の最初の感想である。凄惨ないじめとそれを発端とした自殺。その加害者たちは呆れるほど平然と、悪びれることもなく自らの罪について語る。そこには反省というものは一切感じられない。

本書は、実際にあったいじめによる事件について状況を事細かに分析していく。読んでいてやや難しかったが、学校という環境が世間から見ていかに異常な環境であるかが伝わってくる。世間の常識は当てはめられない。学校も当てに出来ない。(学校はむしろ隠蔽に奔走する)読んでいて何ともやりきれなくなる本である。

【読書メモ】『新版 家を買いたくなったら』

新版 家を買いたくなったら
長谷川高
WAVE出版
売り上げランキング: 515

家を買うべきか、賃貸にすべきかをちょっと考え始めた時に読んだ本。本書はそんな時に家を買うことのメリット、デメリットを解説する。賃貸には移動の自由というメリットがあるのはなるほどと思った。実際にはそう頻繁に引越など出来ないけれども。

家も戸建てかマンションか、中古かも含めてそれぞれの利点、欠点を解説してくれる。
一方で、家を購入するにあたって注意すべきところを家のタイプ別に解説してくれている。こちらは実際に購入を決意した際に見ておけば参考になると思う。

2014年2月11日火曜日

【読書メモ】レイヤー化する世界―テクノロジーとの共犯関係が始まる (NHK出版新書 410)

佐々木俊明氏による新書は新書といいながらその分量と内容の濃さに圧倒される。本書も読み進めるうちにちょっとした世界史を紐解くことになってお腹いっぱいの内容。巻末の参考文献の多さに驚く。

第三の産業革命を迎えているらしい。そこでは人口も増えないし、劇的な技術革新もなく、なんといっても雇用が生まれない。正確には雇用は海外の新興国へ流れていく。だからお給料もこれ以上増えない。むしろ、下がる。頑張らないと今の職も危ないよと。 なんとも寒々しい。これはウチとソトの関係が崩れたことによるものらしい。

ウチとソトというのは「国内」と「国外」という国を隔てる境界線で、それが崩れていると。そして、これからは「場」を提供する側とされる側の関係になる。それまでウチとソトの関係が崩れレイヤーという層になっていくと。レイヤーとは、個々人が持っているいくつかの側面のようなものと読み取った。趣味での自分、仕事での自分、家族での自分。これからは個人のそれぞれの(レイアーでの)自分を表現することが多くなる。そして、表現のする「場」がSNSであり、そこではさらに、国内と国外という関係が崩れ、世界的にフラットになっていく。

本書では「場」を提供する代表的企業としてアマゾンやfacebookが挙げられている。世界横断的にものを販売するアマゾンと世界横断的にSNSを提供するfacebook。われわれはそれらを利用する「提供される側」だと。一方で納得できるものの、もう一方で「ん?」という自分がいる。身近に自分の親をみるととても当てはまるとは思えないからだ。(というか、自分の親世代はもう当てはまらないのかもしれないが)

本書では、そんな寒々しい(笑)第三の産業革命で上手く立ちまわる方法を示していないが、まずは認識しておきましょう、という。そして、今までの考えを変えていきましょうと。最近、こんなのばっかりだな(笑)。まあ、考えを変えなければならないのは今に始まったこと無いなぁと思う今日このごろ。いままでの常識、固定観念をあらためないといけないなと強く感じた一冊です。

2013年12月7日土曜日

【読書メモ】『反省させると犯罪者になります (新潮新書)』


犯罪を犯した受刑者は「反省文」というのを書くらしい。自らの罪を振り返るとともに今後二度と罪を起こさないよう自らの決意を書く。しかし、どんな立派な「反省文」を書いても本人はほとんど反省していないようだ。

実際に反省文を書いた受刑者への聞き取りの様子は読んでいてびっくりする。反省どころかその場を切り抜ければいいという考えしか持ち合わせていないことがわかる。いかに上手く反省文を書いて、その場をやりすごすか。著者はそんな現状の受刑者への対応についても疑問を呈する。

そこで著者は受刑者に徹底的な聞き込みを行う。それは受刑者がなぜ犯罪に至ったのかの原因を突き詰めて聞いていくもので、受刑者自身の生い立ちまでに行き着く。原因を追求する様子はとても引き込まれてしまった。

原因を徹底的に追求する姿勢は以前読んだ「オタクの息子に悩んでます」や「ロジカルな田んぼ」にも通じるものがある。やはり原因を追求することというのはすごく大事だな。

2013年11月9日土曜日

【読書メモ】群れのルール 群衆の叡智を賢く活用する方法

群れのルール 群衆の叡智を賢く活用する方法
ピーター・ミラー
東洋経済新報社
売り上げランキング: 42,972

アリとミツバチとシロアリ、そして鳥、バッタ。昆虫から動物までのいろいろな”群れ”を科学的に解き明かしていく。

【読書メモ】藝人春秋

藝人春秋
藝人春秋
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水道橋博士
文藝春秋
売り上げランキング: 399

浅草キッドの水道橋博士が過去に接してきた著名人との交流をつづる。本書で語られる著名人との交流は以下の面々。
そのまんま東
甲本ヒロト
石倉三郎
草野仁
古舘伊知郎
三又又三
堀江貴文
湯浅卓
苫米地英人
テリー伊藤
ポール牧
爆笑問題
松本人志
稲川淳二
そして、最後に児玉清。

テレビから受ける印象とはちがう人間の深みを感じる。湯浅氏のぶっ飛んとんだエピソードが面白かった。読んでいて気持ちいいくらいスケールが大きい。 石倉三郎氏の「『辛抱』っていうのは辛さを抱きしめるってことだからな」って言葉が個人的に印象深い。

2013年11月8日金曜日

【読書メモ】アルゴ

アルゴ [DVD]
アルゴ [DVD]
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ワーナー・ホーム・ビデオ (2013-09-04)
売り上げランキング: 845

1979年にイランのテヘランで発生した過激派学生によるアメリカ大使館の占拠。大使館から脱出した外交官の脱出作戦を描く。
アメリカ映画の特殊メークで色々変装しています。

【読書メモ】『オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)』

オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)
岡田 斗司夫 FREEex
幻冬舎
売り上げランキング: 1,453

本書は朝日新聞の連載「なやみのつるぼ」の記事のうち、著者の記事をもとに、著者がどのように回答までに至ったかのプロセスをまとめたもの。
自分は本書を読むまで著者のことを知らなかったが、著者の岡田斗司夫氏はオタキング代表で、アニメ会社ガイナックスの設立に携わった人らしい。本書に書いてある肩書は社会評論家である。

内容は、様々な相談内容から相談者の背景まで掘り下げていくとともに、どのように著者が考え、どのように回答を導き出していくかが書かれている。

後半には、著者が回答するさいに考え方のツールを紹介している。人生相談する人ってこのくらい考えないとダメなんだな(笑)。本書を読んで「ここまで考えているのか」と感心。

2013年9月14日土曜日

【読書メモ】兵士は起つ: 自衛隊史上最大の作戦

兵士は起つ: 自衛隊史上最大の作戦
杉山 隆男
新潮社
売り上げランキング: 20,598

本書は震災発生時に、その場に居合わせた自衛隊員からみた震災の光景と自衛隊の活動の記録である。震災が起きた時、福島に駐屯していた自衛隊員は何を感じ、考え、どのように活動をしたのか。活動を通じた自衛隊員の葛藤が生々しく書かれている。読んでいてどんどん引きこまれてしまった。

震災地ではインフラは崩壊。そんな状況下で非常時を想定した訓練を積み重ねた自衛隊は心強い存在と感じる。万が一、自分が自分が同様の状況に置かれた時、素人の自分では自分の面倒を見つつまともな支援はできないと思うぐらいすさまじい状況である。
災害救助という場においての自衛隊の活動は、自衛隊に否定的な見方をも変えてしまうんじゃないかとさえ思ってしまった。

自衛隊が震災時にどのように活動したのか、平和憲法の元、あいまいな存在として教えられた自衛隊の活動を知るうえで、本書は日本人なら一度目を通しておいてもいいのではないだろうか。

2013年7月5日金曜日

【読書メモ】ロジカルな田んぼ (日経プレミアシリーズ)

ロジカルな田んぼ (日経プレミアシリーズ)
松下 明弘
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 13,323
著者は18年前に日本ではじめて酒米「山田錦」を有機・無農薬で育てることに成功した専業農家。自身を「稲オタク」と呼んでいる。本書は著者が農薬を使わないお米を作るためにお米作りの工程一つづつを「ロジカル」に解き明かしていく。

本書を読むまでなんで水田に水をはるのか?、なぜ耕すのか?、なぜ田植えをするのか?といったことを知らなかった。本書にその答えが書いてある。読んでみて新しい発見があってとても面白い本だ。身近なことだけど知らなかったことが書いてあるので一気に読めてしまう。 稲を育ててから植えるのは雑草の成長に負けないためだったのか。

著者は農業の一つ一つには意味があり、その意味を知ることで工夫の余地が生まれこれまでにない新しい農業か可能になるという。これってコメ作りにかかわらず全てのことに通じるような気がするな。

2013年4月6日土曜日

【読書メモ】知の逆転 (NHK出版新書 395)

知の逆転 (NHK出版新書 395)
ジャレド・ダイアモンド ノーム・チョムスキー オリバー・サックス マービン・ミンスキー トム・レイトン ジェームズ・ワトソン
NHK出版
売り上げランキング: 67

本書は6名の著名な学者へのインタビューをまとめたもの。2010年から2011年6月の『中央公論』誌、「世界展望シリーズ」に掲載されたインタビュー記事がその元である。

インタビューの内容は各々の著作や研究に関するものから、世界情勢、宗教等々におよび、最後におすすめの本がある。 どんな人なのかは各々WIKIペディアでも見てくれれば詳しく説明があるのでここでは簡単なメモにとどめるが、名前だけ聞いてちょっと身構えてしまう。でも、実際に読んでみると、各々の方々がどのように今をみているのかが客観的かつ冷静で、わかりやすい語り口で語られていて、読みやすい。

個人的にはトム・レイトン教授のインタビューはとても興味を引きつけられるものだった。分野がITで日々自分が必ず覗く主要なサイトのほとんどが氏の設立したアカマイ社設立秘話は読んでいてとても身近に感じられる内容であり、「こんなところにもこの技術が活用されているのか」と興奮する内容であった。
また、ジェームズ・ワトソンの教育について語るところはとても感心させられる内容であった。なにを学ぶべきなのかという質問に対して「あなたの文化は一体何か?」を学ぶ事が大事と。これは、自国の歴史を理解して、さらに世界史から自国の歴史を見てみるということの大切さを教えてくれたような気がする。今後ますます歴史に関する本を読んでいこうと強く思った次第である。また、単に覚える=暗記ではなく、”それはなにを入っているのか”を考えることが大事だとも。有難いお言葉頂きました。

本書を最後まで読んでいくと、全編を通じてインタビューアーである著者の吉成真由美氏の深い質問に感心させられてしまった。当然、入念な準備を行った上で望んだであろうインタビューだということは想像するが、各々の「偉人」達へ自説を相手に投げかけつつ行う鋭い質問には「お~」と唸ってしまった。そして、各々著作が大変気になるのだが、他にも積読本がある自分としては、それらの著作を物色するのはあえてやめておこうと思う。

・ジャレド・ダイアモンド  主な著書:『銃・病原菌・鉄 上』『銃・病原菌・鉄 下
・ノーム・チョムスキー  「普遍文法」を提唱  主な著書:『生成文法の企て』
・オリバー・サックス  主な著書:『レナードの朝』
・マービン・ミンスキー  「人工知能の父」と言われる人。  主な著書:『心の社会』
・トム・レイトン  ネットワークへのアルゴリズム応用の世界的権威
・ジェームズ・ワトソン  ノーベル生理学・医学賞受賞。DNA二重らせん構造を発見。
 主な著書:『二重らせん』



生成文法の企て (岩波現代文庫)
ノーム・チョムスキー
岩波書店
売り上げランキング: 23,645
レナードの朝 (ハヤカワ文庫NF)
オリヴァー サックス
早川書房
売り上げランキング: 92,464
心の社会
心の社会
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Marvin Minsky マーヴィン・ミンスキー
産業図書
売り上げランキング: 75,102
二重らせん (ブルーバックス)
ジェームス.D・ワトソン
講談社
売り上げランキング: 29,428

2013年3月10日日曜日

【読書メモ】葉隠入門 (新潮文庫)

葉隠入門 (新潮文庫)
葉隠入門 (新潮文庫)
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三島 由紀夫
新潮社
売り上げランキング: 3,794

「葉隠」は佐賀藩鍋島家二代光茂に仕えた山本常朝の著。本書は三島由紀夫による入門書である。 三島は、本書にとても感銘を受けて、それがこの入門書を書く理由にもなっている。

本書は最初に三島による「葉隠」の解説と解釈について短く語られており、後は本書の精髄を48の項目に分けて解説する。 入門書とあるけれども一回読んだだけではなかなか理解できていない自分がわかる。
解説部分で、本書の象徴する表現として「逆説的」という言葉が出てくる。最初はピンとこなかったが、どうやら、「葉隠」はその文言通りに受け取ってはいけないのである。
「武士道とは死ぬことと見つけたり」という有名な文は、戦前は文字通り解釈されたようだが、本質は違うというのである。
本書はそもそも生死を前提として生きる武士に向けて書かれたもの。毎日「死」を心に当てて生きようという。つまり何事にも「死」を意識するぐらい一生懸命に打ち込むということ。それは、「生」に心を当てることとなる、と。 何事にも一生懸命打ち込め、という一方で、人間の一生は短いから好きな事をして暮らすべきだと。
むずかしいが、文字通り解釈せず、その意味することを考えさせる本である。

2013年2月24日日曜日

【読書メモ】映画は父を殺すためにある: 通過儀礼という見方 (ちくま文庫)

映画は父を殺すためにある: 通過儀礼という見方 (ちくま文庫)
島田 裕巳
筑摩書房
売り上げランキング: 24,763

本書は、たまたま聞いたラジオ番組のポッドキャストで町山氏が推薦図書として取り上げていたもの。著者の島田氏は宗教学者であり作家で、本書では、宗教学で学んだ「通過儀礼」を通じた映画の見方について述べている。

「通過儀礼」には分離・移行・結合の三つの段階があり、本書では、「ローマの休日」や「スタンド・バイ・ミー」などの映画に三つの段階を当てはめながら通過儀礼について解説している。この解説は各映画の場面場面ごとに解説されていてとても具体的だ。扱う映画は日本映画にも及んでおり、本書で知った「通過儀礼」の視点は、ちょっと映画を借りて自分でもう一度見返してみようかなと思わせる。

(推薦図書一覧)
タマフル推薦図書まとめ

2012年11月18日日曜日

【読書メモ】アメリカは本当に「貧困大国」なのか?

アメリカは本当に「貧困大国」なのか?
冷泉彰彦
阪急コミュニケーションズ
売り上げランキング: 332968

本書は堤未果氏の『ルポ 貧困大国アメリカ』とあわせて読んでみた。同じアメリカを語る二冊の本だが、こちらは、堤氏の著書への反証という形をとる内容となっているらしい。つまり、アメリカの格差社会は本当に絶望的なのか?である。

著者にとって、堤氏の著作は格差・貧困を告発しておいて、それらの被害者に対する心からの同情や連帯感が感じられない点や、それらの単なる観察で済ませてしまった点に違和感を覚えたとしている。
また、悪い面ばかり強調して、「アメリカの機会の均等」制度についての説明がほとんどされていないといった点も気になるらしい。そこで本書では、機会均等を実現するための各種の奨学金制度についても説明している。

本書を読んで、堤氏の本を読んだ後の悲壮感がどこまで緩和されるのかなと思ったが、制現状が厳しい状況であることに変わりはないといったのが読んでみた感想である。ただ、奨学金制度についての具体的な説明は興味深い。

読み進めると堤氏への反証はそれほど厳しくないといった印象だ。むしろ、本書の発売時(2010年7月)時点でのオバマ政権の対応について苦しいながらもうまくやっているといった内容である。「チェンジ」を掲げたオバマ政権の国際社会への発信内容について、「抽象的な理念と具体的な施策との間に連続性を持たせたメッセージで、それらはしっかり伝わっている」と褒めている。また、医療保険改革も、本書発売時に上院案を可決したことを評価をしている。このあたりは、本書にも触れられているとおり、本書発売時点で具体的な政策が発表される前であるため、読んだ感じではぼんやりする。メッセージを評価するといっても(政治的には重要かもしれないが)イマイチ実感がわきにくい。

本書では、ティーパーティーについてもふれられている。貧困や格差を語る上で、ティーパーティーのような草の根保守について語ることはアメリカ社会を語る上で重要だという。たしかに、ティーパーティーは町山氏の著書『99%対1%アメリカ格差ウォーズ』でも紙面を割いて解説されている。

本書の最後では、移民の問題にもふれているが、色々あって大変な国である。