2015年7月20日月曜日

【読書メモ】『帳簿の世界史』

帳簿の世界史
帳簿の世界史
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ジェイコブ ソール
文藝春秋
売り上げランキング: 455

簿記を勉強している人は、ぜひ本書を手にとってみて欲しい。退屈な簿記の勉強に俄然やる気が出てくる(かもしれない)。それくらい、本書の内容は示唆を与えてくれる。
本書は本年7月時点で、自分にとってベスト本といっても差し支えないかもしれない。

複式簿記という帳簿がなぜ必要なのか、そして、その複式簿記という帳簿を通じて、会計が国家にとっていかに重要なのか。本書ではその点をイタリア、スペイン、オランダ、イギリス、フランス、アメリカなどの主要な国々の歴史を通じて解説する。 共通するのは、簿記はツールとして使いこなせば国の繁栄を左右するぐらい強力なツールであるが、その運用はいろいろ困難を伴うことだ。

本書の中では、上記の国々における複式簿記を使っていくことに大変な忍耐と労力とともに、優秀な人材によって初めて運用による効果が導き出されており、少しでも努力を怠ったり人材がいなくなってしまうとあっという間にに国が衰退していしまうというわかりやすい歴史が示されている。素晴らしいけど大変な複式簿記の運用を歴史上の人物が体を張って示してくれているのだ。

本書では、簿記の歴史を通じて歴史上の重要な人物にも巡り合える。「英国陶工の父」と言われるジョサイア・ウィジウッド、フェリペ二世、ルイ16世、ベンジャミン・フランクリン、マックス・ウェーバー(社会学者)・・・などなど 個人的に簿記を使っていた人の中には「この人も簿記会計やってたのか」と初めて知ることも多い。

後半では、鉄道の財務会計を通じて会計監査が必要になることが語られる。というのも、鉄道は資本が莫大で固定資産が多く、減価償却が重要になるが、管理がとても大変である。その結果、粉飾が横行するため、投資家に向けて正しい会計情報を開示するためには会計監査が必要になるのである。

プライスウォーターハウスクーパースやムーディーズなど、ニュースで聞いたことのある企業名は、これらの会計監査を行った人物が起こした企業なのである。

本書を読み終えると、自分の家計簿を複式簿記で管理してみようと思わせてくれるが、運用は大変であることを肝に銘じておこうと思う。



2015年7月18日土曜日

【読書メモ】『図解・電車のメカニズム―通勤電車を徹底解剖 (ブルーバックス)』

図解・電車のメカニズム―通勤電車を徹底解剖 (ブルーバックス)
宮本 昌幸
講談社
売り上げランキング: 299,189
個人的だが、電車、特に台車に大変興味がある。台車は乗り心地を良くして、走行を安定させるという目的において、同じレールを走る上で、方式はかなり限られると思うのだが、実に多様な方式が存在する。

近年はコストと軽量化を突き詰める車両が数多く開発されているが、方式は微妙に違うのだ。この謎を解明すべく、WIKIを調べてみたところ、一つ一つの台車について実に丁寧な解説が載っていて関心したが、自分の疑問に答えてくれているとは言いがたい。

ちょっと調べるぐらいでは十分な内容だが、自分としては、専門の書籍でも読んで、深く調べてみたいと思い、書籍をあたってみたものの、台車について深く記述されている物が少なく、途方に暮れていた。

ということで本書である。 ブルーバックスという限られた紙面上、台車について深く調べるというわけには行かないものの、蛇行動(台車を語る上で欠かせない、走行上、台車に発生する振動の問題)にも触れており、比較的台車についての記載は多いのではないかと思う。

本書では、他にも台車を始め、モーター、冷暖房を始めとする電車の車両についてコンパクトな解説がされている。電気系統についてはかなり深い内容があるので若干ハードルは高いものの、十分楽しめる内容ではないかと思う。

【読書メモ】『日本経済はなぜ浮上しないのか アベノミクス第2ステージへの論点』

日本経済はなぜ浮上しないのか アベノミクス第2ステージへの論点
片岡 剛士
幻冬舎
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本書は、2013年のアベノミスクの分析。
円安は進んだが、輸出が思ったより伸びない。株高も進み民間消費は増加したものの、幅広くは浸透していない。実質金利も低下して設備投資も増えたけど、緩慢。公共投資も増えたけど高級制約もあって工事高、工事費の拡大など、景気の回復にはまだまだ課題もある。

本書ではこのような課題について客観的データと元に分析を行う。 丁寧な説明で読みやすい内容で、途中で飽きてしまうこともない。

しかし経済は難しい。本書も読んでいると理解できるが、読み終わったら上手く説明できない。経済学の勉強はまだまだである。

【読書メモ】『スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 マクロ編』

スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 マクロ編
ティモシー・テイラー
かんき出版
売り上げランキング: 11,506
こちらはマクロ編。 読みやすくて、何より整理されているのでわかりやすい。

【読書メモ】【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める!

【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める!
高橋 洋一
あさ出版 (2015-02-20)
売り上げランキング: 4,476

『21世紀の資本』を買わずにこっちを買ってよかった(笑) そう思わせてくれる一冊だった。

自分にとって、を買っても積読本になっていたであろうことを想像していたので、手っ取り早く要所が分かる本がないかと本書を見つけた。

本書は図でもってトマ・ピケティの『21世紀の資本』の要所を説明してくれる。「とりあえずどんなことが書いてあるのかな」と興味を持たれたなら本書を買ってみるのがいいかもしれない。
個人的には図からどのようなことを読み取って論理展開しているのか、そのアプローチのしかたが興味深い。