彭 丹
小学館
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著者の彭丹(ほう・たん)氏は四川省出身の中国人で、大学講師を務めている。本書では著者が陶磁器の中に見た「日本の中で見た中国」から話を展開する。日本の国宝陶磁器14点のうち、9点が実は中国製である。本書を読んで初めて知った。国宝と言いつつ、ほとんどそれは中国で製作されたものなのである。ここから、著者による「なぜ」の問いを解いていく。
日本の茶の湯には中国製の磁器茶碗が取り入れられている。そして、それはなぜなのだろうか。ここから青磁・天国・祥瑞・龍文といった磁器の特徴と中国と日本の茶の湯の文化の比較、そして、陶器が作られた当時の中国の状況と日本での取り扱われる状況が具体的に説明される。
そこでは、中国と日本とで異なった見方が磁器の扱いを変えたことがわかってくる。
これらのことからわかることは、日本の文化の中に中国のものがしっかり入り込んでいることである。著者はこれを日本による中国文化の”借用と創造”と呼んでいる。
日本の文化は少なくとも陶磁器においては、中国の”借用”らしい。