2011年9月26日月曜日

【読書メモ】毛沢東の大飢饉 史上最も悲惨で破壊的な人災 1958-1962

毛沢東の大飢饉  史上最も悲惨で破壊的な人災 1958-1962
フランク・ディケーター
草思社
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HONZ.JPで成毛さんに紹介されていた本。中国モノの本をあまり読んだことがない自分にとっては「待ってました」といった感じ。で、実際に書店にて手にしたときはもう、その厚さにびっくりでありました。大丈夫かな、最後まで読めるかな。。。。

実際に読んでみると、自分の抱いていた中国に対するイメージがひっくり返った。いやはや「毛沢東」である。やりたい放題って感じだ。
この本では中国で取り組まれた「大躍進」という名の改革について取り上げている。1958年から1961年のたった数年だが、この期間に起きたことは本書を読むと凄まじい。ここまで人が非情になれて、そして多くの人が死んでいくのかという事例がこれでもかというぐらい載っている。もちろん、情報統制のとれた国だから正確な資料なぞでてこない。しかし、可能な限りの収集した資料と、取材に基づいた本書の内容は、この厚さにもかかわらずあっという間に読み進めてしまった。

戦争など痛ましい虐殺が起きるのは異教徒、異文化の民族対立で起きるのは歴史が証明しているが、本書を読んで驚いたのは、これほどの餓死、殺人が一つの国家の政策のもとに起きたということ。
つい先日、中国で起きた新幹線の事故で、車両を埋めてしまうムチャぶりを発揮した中国だが、この本を読んでみるとまだまだかわいいものかもしれないと感じてしまうとともにに、変に納得もしてしまった。

2011年9月18日日曜日

【読書メモ】チョコレートの真実 [DIPシリーズ]

チョコレートの真実 [DIPシリーズ]
キャロル・オフ
英治出版
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 成毛さんの書評で紹介されていたものです。
 この本を読んだら、10年以上前に読んだ「バナナと日本人」を思い出した。今スーパーで普通に板チョコを買うとモノにもよるけど、100円弱ぐらい。この安さも少なからず現地の異常に低い人件費の賜物だろうか。。。と思いつつチョコレートを久しぶりに食べながら読み進めた。知らないって怖いことだなといろいろ考えさせられる内容。安く手に入るものは奴隷制度・搾取とセットですね。

 小学生の頃に社会の授業で、カカオの世界一の産地はコートジボワールと習った。それ以来、アフリカの中でも安定している国との(勝手な)思い込みがあったけどいろいろあったようです。
 しかし、自国民からあそこまで搾取できるというのはなんとも。。。まぁ、この感覚は平和な日本にいるからこその感覚なのでしょうか。
 それにしてもカカオ栽培に関わる人々の境遇たるや、読んでいて絶句。

 

バナナと日本人―フィリピン農園と食卓のあいだ (岩波新書)
鶴見 良行
岩波書店
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【読書メモ】ハチはなぜ大量死したのか (文春文庫)

ハチはなぜ大量死したのか (文春文庫)
ローワン ジェイコブセン 福岡 伸一
文藝春秋 (2011-07-08)
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HONZの書評を読んで購入。CCD(Colony Collapse disorder:蜂群崩壊症候群)。ある日突然、巣箱からハチが突然姿を消した。本書では、このCCDの原因を探っていく。謎の解明にむけて読み進めていく。あっという間に引きこまれてしまった。
 この本を読んで、ハチの生態や、身近な農作物がハチによる花粉交配に依存していることを知った。マンゴーやチェリー、アーモンド、レタス、オニオンシード、ブロッコリなど、聞いたことのあるものばかり。
 蜂蜜は、その名のとおり、ミツバチから取れる蜜だが、市場に出回っているものの中には「混ぜ物」の可能性も否定できないらしい。コーンシロップやライスシロップと言われる人工的に作られた蜜を混ぜているものがあるそうな。これは、とても安価でしかも違いがわかりにくい。
 ハチにとって蜜を作るのは重労働らしい。だから、最近はハチにサプリメントを与えているところもあるらしい。
 養蜂のいろいろな事情が垣間見える。

2011年9月11日日曜日

【読書メモ】「歴史」を動かす―東アジアのなかの日本史

「歴史」を動かす―東アジアのなかの日本史
小島 毅
亜紀書房
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この本はHONZ.JPのSpecial Reviewでタレント麻木久仁子氏が紹介した本。で、本書は小島氏の九回に及ぶ講演会の内容をまとめたもの。

僕は受験の時に日本史を選択したけど、この時の知識は10年以上たった今でも歴史物の知識に触れるときの基本になっている。で、この本はかつて日本史を先行した人にとっては記憶のブラッシュアップにいいかもしれない。政治史、文学史といった点で覚えていた知識をひっくるめて線でつなげてくれる。
仏教、儒教の日本、中国、韓国それぞれの受け止め方の違いや、中世の日本と、その当時の中国の状況を踏まえた貿易、足利義満と南北朝時代そして、天皇家系図についてなど、読んでいて改めて知った点が多かった。上杉氏の変遷(関東→内紛で群馬、越後→会津)もそういうことかと。
他にもいろいろあって、決して難しい内容ではないのですが、着眼点がおもしろい。

【読書メモ】友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学

友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学
ロビン ダンバー
インターシフト
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 成毛さんの書評ブログで紹介されてました。
 コミカルな表紙とは裏腹に、かなり読み応えのある内容。読んでいて「なるほど〜」を連発してしまった。
 例えば、男性、女性の群れの中での役割の違いの話。男女で会話の際に話す内容が違うらしい。男性は女性にアピールする必要があるから自然と自分のこと、自分の知識について語り始めがち。女性は、他人についてのうわさ話が中心らしい。それは、子育てが周りの協力を得て行う必要があるから。うわさ話を通じて仲間と良好な関係を得る、仲間と情報を共有する必要がある。なるほど〜、確かに友人、知人、自分も含めて思い当たるフシはあるな。。。

 他にもミルクを受けつける体質が実は北欧人とサハラ砂漠南縁に暮らす一分の牧畜民だけで、他の人種は離乳後にミルクを消化する酵素が働かなくなってしまうとか、他にもいろいろな「なるほど〜」があって、面白かった。

2011年9月5日月曜日

【読書メモ】白人はイルカを食べてもOKで日本人はNGの本当の理由 (講談社プラスアルファ新書)


 この本は、東えりか氏の書評ブログで紹介されていた。氏はHONZ.JPのメンバーでもある。

 僕はダイビングをやるのでクジラを食べるという感覚に若干抵抗がある。どちらかというとクジラとかイルカは綺麗な海の象徴というイメージを持っているからだ。実際にクジラの竜田揚げを一度食べたことがあるがあまり美味しいと思わなかった。

 でも、クジラ漁を即刻やめよという動きについては抵抗を感じる。クジラ漁は日本の伝統であり、部外者(自分を含む)がどうこういう資格はない、というのが僕のスタンス。ということを踏まえて、本書を読んでみる。

 まず、本書の著者、吉岡氏は、中日新聞新宮支局長であるジャーナリスト。和歌山県太地町のイルカ漁を舞台に地元住民と、捕鯨に反対するシーシェパード、欧米の反捕鯨団体への取材、そして、後半は捕鯨国であるフェロー諸島への取材をしている。フェロー諸島での取材では同じ捕鯨国同士、でも対外的な対応の違いを明らかにする。ちなみに、イルカとクジラは大きさで区別しているだけで種類として明確な違いはないということを初めて知った。。。

 太地町へは過去に数回ほど串本町へダイビングに向かう途中に立ち寄ったことがある。確かにクジラの町という看板、見ました。だから僕にとっては親近感を感じる地域であります。

 この本を読んで、いろいろ考えさせられる内容だった。賛成、反対、どちらの意見もあって然るべき。ただ、この本で、映画「コーブ」の主人公を演じたオリバー氏とのやりとりを読む限りは、反対意見の理由がやはり科学的でないし、日本人の僕からすると、確かに欧米人の勝手な論理という点は感じなくもない。

 一方で、日本人としても、伝統あるイルカ漁をもう少し上手くアピールする方法を考える必要があるだろうと強く感じる。オリバー氏含め、反対派は一部メンバーによる網を破る等乱暴な実力行使があるが、総じて映画のメディアへの取り上げられ方、ネットの使い方など、アピールの方法が周到だ。

 また、水産庁や財団法人日本鯨類研究所顧問の大熊氏のインタビューは興味深い内容だった。特にクジラ漁と漁獲資源との関係について科学的説明をしてくれてる。人間とクジラは食べる魚が重なる部分もあるので定期的なクジラの「間引き」が必要であるということ。そうしないと人間が食べられる魚が減る。このあたりもう少し明確に世界にアピールできないのかなと強く感じる。

2011年9月4日日曜日

【読書メモ】SUPERサイエンス 南極海ダイナミクスをめぐる地球の不思議

SUPERサイエンス 南極海ダイナミクスをめぐる地球の不思議
青木 茂
シーアンドアール研究所
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  成毛さんの書評ブログで紹介されてました。書評にもあるとおり、チェンジングブルーで取り上げられた深層水についての本。

 読んでいてとても楽しい本だった。コンベアベルト、特に極域における海水の塩分濃度と水温の関係における水の流れなど、わかりやすいイラストと共に説明されている。
 また、気候システムのところでは極域の気候に触れ、大気循環にも触れている。厚さにたじろいたけど読みやすい内容。

【読書メモ】原発報道とメディア (講談社現代新書)

原発報道とメディア (講談社現代新書)
武田 徹
講談社
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 この本を買う前に本当は「私たちはこうして「原発大国」を選んだ」を読書リストに挙げていたけど、読売ONLINEの書評を読んでこちらを先に購入。

 考えさせられる内容で、読み応えのある一冊でした。
 地震発生以来、自分は果たして冷静なアクションを起こせたのかな?と振り返りがてらいろいろな本を読んでいます。そもそも原発とはどういうものなのか、メディア報道を受けて自分はどう行動を起こしたのか、それは正しかったのかと。
 Twiiter、ネットなどでも、原発推進派、否定派が渦巻いていて、一方でそれを報じるテレビ、新聞、ネットなどのメディアについても賛否両論。自分自身結論を出せないまま悶々としていた。原発は良くないと思いつつ、原発の恩恵を少なからず受けてきた自分もいるわけで、はて、どうすれば自分自身納得の行くアクションが取れるのかなぁと。そして、この本です。

 メディア論の本は、著者や読む人のスタンスによって感じ方も変わるかもしれない。けれど、この本は、一つのヒント、指針を示していると思いました。自分は別にジャーナリストになるわけでもないけれど、いろいろな情報に触れるにあたり、心構えについてヒントをこの本は与えてくれたような気がする。
 気になるところをあとで見返すようにページの端を追っていたらほとんど折り目がついてしまった。

 ただ、メディア論に関する他の本も読んだ上でこの本を読むとなるほどと思うかもしれない。(あ〜、そう書くほど読んでないな。もっと読もう。。。。)