作者の伊丹万作は日本の脚本家、映画監督、俳優、エッセイスト、挿絵画家。(Wikiペディアより)映画監督 伊丹十三は氏の息子である。 初出は『映画春秋 創刊号』1946(昭和21)年8月。
本書は、AmazonのKindleで無料で入手可能な青空文庫である。Kindleをお持ちの方には是非ご一読をおすすめする。
過去の戦争は戦争を指揮した軍が悪い。無能な指導者が悪い。そして、無能な軍上層部によって国民はだまされ、戦争に巻き込まれた。だから、国民は被害者である。と思っている人にとってはそれが思い込みに過ぎないこと気づかせてくれる本である。
国策とメディア戦略によって国民は徐々に洗脳されて国民は「軍にだまされて」いく。しかし、本書は「だまされるということ自体が一つの悪である」という。著者はそれを「家畜的な盲従に事故の一切をゆだねるようになってしまった」という厳しい表現で指摘する。そして、次の文がとどめのひと突き。「過去の日本が、外国の力なしに封建制度も鎖国制度も独力で打破することができなかった事実」である。
ここまで読むと日本人であることにやや悲観的にさえなってしまう。「だまされていた」という限り、その人は何度もだまされるのである。この言葉や強烈である。
ではどうすればだまされずに済むのか。なぜだまされたのかという分析を徹底的に行い、次回に活かすのである。本書でも「二度とだまされまいとする真剣な事故反省と努力」という言い方をしている。徹底的な自己改造を持って自らを変えていかなかければならないのである。
ということで自分ももっと本を読んでいこうと心に誓った読後である。