本書の題名を見ると、ふと、精神論的な巷にある「やれば出来る」的な本を想像したが、そうではない。この本では、うつなどの精神疾患は、心的治療だけでなく、免疫系、つまり食事や腸内細菌をも含めた見直しが必要であるという。本書の中では、腸内細菌と精神疾患との関係を明らかにすると共に、現在手軽に手に入る食事について科学的に体への影響、作用を明らかにしている。そして、どのような食事を取れば体にとって、良いことなのかを読み取ることができる。
先進国では、精神病床数は日本がダントツに多い状況である。一方で劇的に減少に成功した国がイタリアだ。そして、2000年までに国立の精神病院を廃止した。
こころの健康ではやはり大事なのが食事らしい。血糖の状態が不安定になると、それらをコントロールしようとしてアドレナリンやノルアドレナリンが分泌される。その結果、精神的に不安定になりやすい。だから、糖質を適切にコントロールすれば良いわけだ。 そこで、本書では「糖質制限食」というのが特におすすめだそうで、この制限食ではカロリーはそれほど気にせずに糖質を抜いた食事にすればいいらしい。今度試そうと思う。
脳にブドウ糖は必要なものだが、急激に上げてはいけない。徐々にゆっくり上げるのがいいらしい。つまり、食事をして急激に血糖値が上がってしまうものよりは徐々に上がるものを選んで食べたほうが良いということになる。そこで、血糖値が上がる指標として「GI(グリセリックインデックス)」というものがあり、その値がある程度低いものを選べば良い。本書にも、主な食事ごとに表になっているので確認するといいかもしれない。この指標はブドウ糖を100としている。
油といえば飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があることはよく耳にする。飽和脂肪酸は常温では固まってしまうが、安定している状態なので保存がきく。不飽和脂肪酸は常温では液体だから、体の血管をつまらせること無く、体にやさしい食べ物とよく言われるが、そのぶん保存がきかない。
じゃぁ、保存できるようにすれば、売れるんじゃないか、そう考えられた結果できたのがトランス脂肪酸だ。すでにマーガリンでもおなじみ。だが、トランス脂肪酸は脳にダメージを与えると言われていて、あまり評判がよろしくない。なぜか。
トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸の中でも多価不飽和脂肪酸に水素添加という方法で化学変化を起こして常温でも固形化できるようにしたもの。つまり安定状態にしたものだ。だから、酸化しにくい。しかし、水素添加によって出来上がったものは自然界に存在しないものであり、その結果分解されにくい。それを体内に入れれば分解にとても時間とエネルギーを必要とするのは明らかだ。その結果、体内のミネラルやビタミンを必要以上に消耗することになる。それだけではない。トランス脂肪酸は体内に入ると体内の他の脂肪酸の働きを阻害し、活性酸素を発生させる。脂質でできている細胞膜は、トランス脂肪酸が取り込まれると細胞膜としての働きが不安定になってしまうのだ。また、体内のコレステロールバランスも崩してしまう。あまりいいもんじゃないらしい。 ちなみに、トランス脂肪酸は名前を変えて色々なところに登場する。コーヒーに入れるミルク、最近はコーヒーフレッシュと呼ぶらしいが、これもトランス脂肪酸。ショートニングというポテトを揚げる油やレトルトカレー、アイスクリーム、ケーキにも使われている。。。。たくさん使われている。マーガリンは食べられる形にしたプラスチックと言う言葉があるらしい。末恐ろしい。。。
他にも色々書かれていて、個人的にショックを受けた本だった。