2015年3月22日日曜日

【読書メモ】『経済で読み解く大東亜戦争』

経済で読み解く大東亜戦争
上念 司
ベストセラーズ
売り上げランキング: 210

戦争の背景を経済からたどる本書は今まで経済に関する本を読んでもしっくりこなかった自分にとって、歴史と経済が融合した大変読みやすい内容の一冊であった。

受験で日本史を先行した人なら本書を読めばいろいろ目からうろこの事実を知ることになるだろう。 実際受験で日本史を学んだ自分も、あの歴史の裏側にこんな経済的背景があったのかと何度もひざを打ったことしきり。

また、世界史についても金本位制が世界に与えた影響について分かりやすく書かれており、いままで点の知識だったものが線で結ばれる感覚は読んでいて大変気持ちが良い。

歴史を学んだひとりとして、上念氏には本書以外にも、もっと歴史と経済を紐付けた本を書いていただきたい。

【読書メモ】『ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼 (PHP新書)』

ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼 (PHP新書)
松尾 匡
PHP研究所
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政府が経済政策に介入したケインズ型の「大きな政府」による政策は70年代に行き詰まり、代わって「小さな政府」のスローガンのもと、政府による介入を極力少なくした政策が目指されるようになった。しかし、著者はこの「大きな政府」による経済政策からの転換を「転換x」し、この「転換x」は「小さな政府」ではなく別のものであると主張する。

本書ではその「転換x」について掘り下げていく。その中で述べられているのが「リスク・決定・責任の一致が必要」、「予想は大事」である。このキーワードは社会主義国家である旧ソ連型経済の失敗を例に語られるが、実は資本主義国である日本にも当てはまる事例があることが語られてとても身近に実感しやすい。

例えば、沿岸漁業や医療法人の例などはなぜ株式会社化せず、漁業組合なのか、医師はなぜ医療法人なのかが「リスク・決定・責任の一致が必要」で当てはめていくととても納得できる。

また、反ケインズとしてミルトン・フリードマンにも触れられている。初心者にはとてもわかりやすい。彼は不況時の財政支出、金融拡大は一時的には雇用・生産が増えることを認めたのに対してそれをも否定しロバート・ルーカスの名も挙げられており、彼の主張した合理的期待モデルや、それらからゲーム理論そして、比較制度分析への広がりを見せていく。新書という限られたなかでコンパクトにまとめられているので経済初心者が読んでもとっつきやすい。


2015年3月1日日曜日

【読書メモ】『GO WILD 野生の体を取り戻せ! ―科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス』

GO WILD 野生の体を取り戻せ! ―科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス
ジョンJ.レイティ リチャード・マニング
NHK出版
売り上げランキング: 3,926

本書は、日々の食事や運動など、自分のカラダについて様々な気づきを与えてくれる一冊だ。 本書を読み終わると、それまで読んだことのあるカラダに関する本(腸とか運動とか食事など)の内容が全てつながっている事がわかる。
野生に戻るということは、腸の働きを良くして脳にも好影響をもたらす。

ランニングが脳に良いということは、様々な本で指摘されている。本書では、ランニングのやり方にもヒントを与えてくれる。
トレイルランニングなどの複雑な地形を走る行為は、脳に対して様々な情報(=刺激)を与えてくれる。一方、スポーツジムなどにあるローラーの上を走ることは脳に対してそれほどの刺激を与えることはない。
単に走ればいいというわけではなく、脳に対して多様な刺激(多様性)が大事なのである。

食事についても、多様性が大事であることに変わりはない。
高密度炭水化物やトランス脂肪酸が体に良くないことを述べつつ、それは現代の工業的な食事の単調さを避ける事を推奨している。風味・色・食感など多様な感覚を感じることが大事なのである。