本書はエンジェル投資家であり、京都大学客員准教授である瀧本哲史氏の著作。読み終わってよくよく調べたら最近メディアにもよく出ている人みたいだ。
世間の雇用状況は厳しさを増すばかり。一方でそのような不安を煽っていろいろなビジネスが立ち上がっている。厳しい厳しいと言われる世間はどういう状況なのか、腰を据えて確認したいなと思っていた矢先にHONZの書評で取り上げられていたので読んでみた。
前半は、これから就職を控える人、もしくは入社したばかり〜2・3年目ぐらいの人向けに日本が迎えている厳しい状況について語っている。「就職ランキングにだまされるな」では、実際にある過去のランキングが現在の状況と照らしていかに参考にならないかということを示していて面白いし、ある意味残酷だ。結局40年先の将来なんてわからない。
「儲かる漁師と儲からない漁師」の項では、儲かる漁師について6つに分類している。そのうち、4つのいずれかを意識して日々仕事をすることを薦めている。このあたり、過去に読んだ本にも載っている内容なので真新しいところはないけどシンプルでわかりやすい。まぁ、それぞれの分類に自分がなれればいいけれどなるのが大変なんですな。
自分も薄々感じていたが、この本でズバリ指摘されてしまった。「住宅ローンはリスク管理できない人のもの」である。景気のいい時はいいかもしれないが、この不況まっただ中のご時世である。35年もローンは組めないよな。
(サラリーマンであることもハイリスク、ローリターンらしい。。。)
弁護士もこのご時世、大変なようだ。弁護士であるだけでは儲からない。では、顧客を集めるにはどうするのか。その理由については、巷でよく見かける借金返済の相談に乗ります的な広告にからめて書かれている。
本の終盤に書かれている「奴隷の勉強、自由人の勉強」では、著者は「リベラル・アーツ」を学ぶことの重要さを訴えている。「リベラル・アーツ」とは、歴史・哲学・芸術・文学・自然科学全般について勉強することで、著者はこれらについて勉強した知識がコンサルタント時代にとても助けられたと語っている。個人的趣味として、歴史や自然科学に関する本を読んでいる身としては読んで身につけた知識にいつか助けられればいいなと思いつつこれからもいろいろ本を読んでいこうと思う。