2012年4月16日月曜日

【読書メモ】鉄は魔法つかい

鉄は魔法つかい
鉄は魔法つかい
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畠山 重篤
小学館
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本書は、HONZ村上さんおすすめ本。見た目は魔法使いのイラストが書いてある親しみやすい装丁の本だ。著者は宮城県気仙沼湾で牡蠣の養殖をしている漁師。

おいしい牡蠣は川が流れこむ汽水域とよばれる淡水と海水が混じりあった海域で育つ。そして、そこに流れ込む川の上流に植えられている木々がとても重要である。なぜ重要なのか。そこには、鉄が大きく関わってくる。鉄の魔法により美味しい牡蠣が育つのだ。本書では、それらの関連を科学的に説明してくれている。

最初、鉄と聞いていまいちピンとこなかった。要はこうなのだ。
豊かな海は、植物ブランクトンが豊富で、海藻が豊かになる。そして、動物プランクトン、小魚が増える。そして大きな魚も増える。結果、豊かな海となる。

植物は光合成を行う。光合成にも鉄が必要らしい。光合成に必要な葉緑素、この葉緑素ができるには「鉄」が必要となる。
また、光合成をして植物、植物プランクトンが育つには、チッ素とリンといった養分が必要。海では、チッ素は硝酸塩、リンはリン酸塩という形で水に溶けている。植物が海中に溶けている硝酸塩、リン酸塩を栄養とするためには、それぞれチッ素、リンに戻さなければならない。つまり還元をしなければならないのだ。ここでも「鉄」が重要になってくるのである。

鉄は、地上では酸素とむすびついて「サビ」という形で酸化してしまう。このままでは植物は鉄を吸収できない。吸収するには「フルボ酸」というかたちが最適らしい。この「フルボ酸」は、主に森林の腐葉土のなかで作られる。植物は「フルボ酸」という形で存在する鉄であれば吸収できるのである。つまり、腐葉土を育む森林がここで登場する。ゆえに豊かな海には豊かな森林が不可欠なのである。

人間の血は赤い。これはヘモグロビンのせい。ヘモグロビンには鉄分と酸素、呼吸後は二酸化炭素が結びついている。エビなどの甲殻類の血は青い。これは鉄分でなくヘモシアニンという銅が中心のものだから。

鉄の話から鉄分を上手に取るための料理の話も触れられている。ここは料理を食べる上で、非常に参考になる。
レバニラやあさり、牡蠣などの鉄分の吸収はとてもよく、含まれている鉄の二十パーセントも吸収される。これは吸収されやすい形のヘム鉄を含んでいるから。

のりやヒジキ、納豆やほうれん草などに含まれている鉄は吸収されにくい鉄らしい。これは非ヘム鉄という形だから。ピタミンÇや酢と一緒に取るといいらしい・・・

わかりやすくて楽しい本である。

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