マーク チャンギージー
インターシフト
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人の持つ「超人的」な視覚の能力をつきとめる本だ。著者は認知・知覚の基礎研究を進めている。研究は多くのメディアで紹介されているから、人を惹きつけるのが上手なのかなと思ったら、やっぱり本書もそうだった。読んでいて惹きつけられてしまった。
本書では、視覚を色覚・両眼・動体視力・物体認識の4つの能力に分けて紹介しており、 具体的かつ分かりやすい内容だ。
「色覚」を「テレパシー」という言葉を用いている。色覚、つまり色を識別する能力はなぜ発達したのだろうか、という疑問からスターする。
著者は、肌の色を感じ取るためと仮説を立てる。そこから、肌の色を感じ取れることの優位性、目が肌の色を感じ取るためにいかに適した作りとなっているのかを展開する。肌の色を認識する錐状体の波長感度は肌の色を形作るヘモグロビンによる肌の色を最も識別しやすいという事実を提示されたところを読み進めていくと、思わず「なるほど」と唸ってしまう。
「両眼」は「透視能力」である。本書では目の位置による見え方をいろいろな視点から検証する。本書に没頭するあまり、僕は本書にある図をにらめっこして電車の中では変な人に思われたかもしれない。なぜ「透視能力」なのかも納得できる内容だった。
「動体視力」は「未来予見」である。予見という言葉にいろいろ勘ぐってしまったが、脳に勘違いをさせることから始まり、錯覚に触れていく。読んでいてふと、僕らが普段から接している「錯覚」があることに気づく。漫画である。躍動感溢れる描画などまさにそれであり、そのことに気づくと小さい頃から漫画に慣れ親しんだ僕には「未来予見」説に納得してしまう。
「動体認識」は「霊視」とある。見えないものが見えるあれですか?はて?なにが「霊視」なのかな?と思いつつ読み進めてみる。我々が使用している文字は日本人なら漢字、平仮名といった表意文字であり、同じ表記体系を用いる人々(例えば漢字を使っている中国人とか)と直感的にコミュニケーションがとれる(場合がある)。ただ、表意文字(本書では「発話表記」としている)は訛りが表現できないといった欠点がある。つまり完全な「霊視」はできない、と。そこで「表音文字」である。アルファベットなどの「表音文字」はこの弱点も補える。さらに、アルファベットの一文字一文字のデザインは、実は自然界に存在するデザインを巧みに表した文字であることを文字デザインの結合部と自然界の映像等から出現頻度を導き出して比較する等によりこれらの本書で言う「発話文字」はものの形も発音も全て認識できるとしている。本を読むということも文字(日本語だと表意文字だけれども)を通じて過去の歴史や著者の思いを感じることができる「霊視」ということなのだろうかと考えてしまった。
本書はその内容の多さに対して手軽に入っていける、読みさすくてかつ高度で、読んだあとの「お得」感がとても高い本であった。
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