小牟田 哲彦
講談社
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本書は鉄道と政治にまつわるエピソードを紹介する。 著者は小牟田哲彦氏で、鉄道に関する著作や紀行文の連載を多数執筆している。
日本の鉄道網はおよそ二万七千キロ。その中には路線単独で赤字の路線も存在する。資本主義の観点から見ると、そのような路線が存在することは不思議なことである。しかし、著者は、鉄道は経済原理以外の要素、公共交通機関という性格を帯びているためであり、公共性が存廃の要素に関わることは政治の力に左右されるのは必然と著者は語る。特に、日本の鉄道は「政治路線」と言っても過言でないらしい。
新幹線に使用されている線路の幅は国際標準軌であるのに対し、他の国内の在来線はそのほとんどが、それよりも狭い狭軌と呼ばれる規格にそって建設されている。それななぜだろうか。
鉄道敷設を進めた明治以降、日本は一刻も早く欧米列強に追いつかなければならない。そうなると、なるべく安く、より広い地域に鉄道を普及する必要がある。一方で、確実な輸送力を確保するためにしっかりした路線建設が必要となる。結局、当時は一刻も早く整備をすすめることを優先したようである。
軍事にとって、鉄道輸送の重要度は極めて高い。我が国がそのような認識を持ったのは西南戦争で、兵員や物資の輸送に活用したのがきっかけとなった。また、当時、それまでのフランス軍制から、普仏戦争で勝利したプロイセン(ドイツ)軍制に移行し、そのプロイセンが鉄道輸送を活用していたことも、鉄道輸送に着目するポイントになったのである。
日清・日露戦争の頃には軍事輸送体制がほぼ確立する。そして、その頃の路線は、現在のJRの主要な営業路線となって今に至る。今日の鉄道も戦争が元となっているのである。
鉄道誘致は地域に利益をもたらすと考えられたことからその地域の政治家は必死になって誘致合戦を繰り広げた。それは、我田引水をもじって我田引鉄と揶揄されるほどの露骨な誘致合戦だった。東京と新潟を結ぶ上越新幹線。新潟が田中角栄の故郷だからというのは有名な話。また、我田引鉄による停車駅設定の例として、岩手県と宮城県を走るJR大船渡線が挙げられている。大船渡線は、そのいびつな線形は、びっくりするほど露骨であり、これらの露骨な政治的な駆け引きを読むと、えげつない政治家がいるんだなと思ってしまう。
利用者が少ない路線は当然赤字に陥る。地方の赤字ローカル線が廃止される昨今、これらを何とかしなければならないという考えも当時はあった。しかし、当時鉄道建設審議会の小委員長であった田中角栄元首相が赤字を出しても良い。国鉄の役割であるという主張をした。これが元で赤字路線はそのまま赤字を垂れ流し続けたのである。
最後は、海外への鉄道進出に触れられており、今後の日本の鉄道のあり方について触れられている。個人的には、せっかく世界に輸出された日本の車両が某国のいい加減な運行で事故を起こして、しまいには埋められちゃうような映像は見たくない。輸出先は民度も含めて慎重に選んだほうがいいんじゃないかと思います(笑)
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