ちょうど本書を読んでいるタイミングでアメリカ大統領選挙が行われた。本書の知識を踏まえて選挙をみると、単にどっちが勝った、負けただけでなく、どのような支持団体が、なぜ、その政党を支持するのかがわかってくる。
僕のアメリカについての知識は義務教育、そして、高校の日本史と世界史の時にならったアメリカと、あとはメディア(映画含む)からの断片的かつ偏った知識のみ。はて、この知識でもって、本書を読むと、自分はアメリカについて何も知らなかったなと痛感。(それはそうかもしれないが(笑))
かいつまんでいうと、アメリカ大統領選挙では、東部と西部に支持者の多い民主党と南部と中西部に支持者の多い共和党という二大政党が争っている。
民主党支持基盤には人口の多い大都市があり、経済・文化の中心を占める地域だ。つまり、多民族であり、平均年収も比較的高く、人口中絶や同性愛者の権利も守り、銃規制も求める「リベラル」な人が多い。
一方、共和党支持者の多い地域は、農業や製造業が中心の大きな田舎がほとんど。白人率も多く、平均年収も低い。人工中絶、同性愛にも反対。銃規制も反対。保守と言われる人たちが多い。
共和党=保守と聞くと、なんだか規則やら、旧い考えやら頭が硬そうなイメージだが、実は共和党の理念は「自由」。自由市場、自由競争、小さな政府なのだ。そう考えれば、たしかに銃規制に反対というのは、つまり、銃を持つ自由を主張するのもわかる話しである。
民主党の理念は「平等」。だから、福祉は充実してみんなを満足させる。そして、公共事業も増やして雇用を創出して貧困を減らしたい。さらに富裕層からは税金もたくさんとって貧しい人たちへ分配。
以上から、「自由」の共和党と「平等」の民主党がバランスを取りながらアメリカは成り立つ国家なのだ。
次に、支持基盤について。南北戦争では、奴隷制度廃止を主張した共和党と、奴隷制度維持を主張した南部連合政府との戦争であり、南部連合政府は民主党である。だから、南部はもともと民主党の支持基盤だった。
では、なぜ今、南部は共和党支持層が多いのか。それは、1929年の大恐慌がきっかけだった。当時、ニューディール政策を行なって経済を建てなおしたのはご存知、ルーズベルトで、民主党だ。ニューディール政策は政府の積極介入と富の再配分によって貧富の差を縮めようとするものだから、社会主義と資本主義の間のようなもの。社会民主主義だ。この政策は人種にも拡大して適用されたから、労働者には支持される一方、南部の自由主義者には受け入れがたかった。そのため、民主党支持だった南部の人たちは共和党支持へと回ることになる。
共和党はさらに、ニューディール政策の社会自由主義から、規制緩和、福祉削減、富裕層への減税、公共事業の民営化などを訴える新自由主義が提唱される。
このあたりの知識を踏まえて本書の本編に入る。
まず、驚いたのがTV局であるFOXニュース。日本で放送局というと形だけは中立、公平を歌っているが、FOXニュースには当てはまらない。ここは、メディアという手段を使った翼賛団体なのだ。民主党のオバマ大統領をテトリス・人種差別主義者と呼んだりやりたい放題だ。そして、しまいには巧みな映像編集を行なって公然と捏造報道を行うのである。(事実が明らかになると後に謝罪する場合はあるが)
それから、ティーパーティーという支持団体の存在だ。この団体の名前は1773年のボストン・ティーパーティー事件(茶会事件)からきている。本国イギリスからの紅茶などのかけた高額の税金に反発した事件である。オバマ大統領が掲げた増税政策、医療保険改革に対する強力な反対運等を繰り広げる。
医療保険改革が出てきたので触れておくと、日本では当たり前の公的な医療保険がアメリカにはない。だから、お金のある人が自前で保険に入れればよいが、所得の低い人は保険に入れない。つまり、高額の医療費を払って治療するか、治療を諦めるしかないのである。この公的な医療保険政策に反対する共和党や、ティーパーティーの存在自体が日本にいると不思議でならないかもしれないが、本書を読んで共和党の由来、ティーパーティーの支持母体を見てみると、その理由もわかってくる。
本書では、他にも、凄まじい中傷CMや、メディアのバトルなど、こんな国が世界のリーダーなのかと思うと若干不安に思ってしまうが、まぁ、日本もひどい状況なので、選挙で少しでも良くしていきましょう(笑)
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