2014年8月17日日曜日

【読書メモ】『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』

紙つなげ!  彼らが本の紙を造っている
佐々 涼子
早川書房
売り上げランキング: 309

本書は、震災で破壊された日本製紙石巻工場の生産ラインが復旧するまでを描く。本書を読んで、以前読んだ『兵士は起つ:自衛隊史上最大の作成』を思い出した。

本書を読み終わった後に、つい、本書の紙質を手で触ってその「触感」を確認してしまった。紙は、出版される本の読者や用途に応じて繊細な「調成」を経て作成される。製紙会社には紙の作り方を記した「レシピ」と呼ばれるものが存在するらしい。それほど紙の作成にはノウハウが必要なのだ。

日本製紙は日本の出版用紙の約四割を担っている。その日本製紙の石巻工場は主力工場である。同工場にある8号抄紙機と呼ばれるものからは、以下の作品が生み出される。

・村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
・百田尚樹『永遠の0ゼロ』
・沖方丁 『天地明察』
・東野圭吾『カッコウの卵は誰のもの
単行本
・『ONE PIECE』
・『NARUTO―ナルト―』

どの作品も一度は聞いたことのある作品であると思う。

本書では、復旧にあたる従業員の姿が描かれる。工場を復旧させるにあたり、どの機械から復旧させるのか、期限の設定はどのようにして決定されたのかなど、情熱だけでなく、企業としてシビヤな、冷静な見方をしつつ、設定されたことがわかる。

一方で、遺体の発見や収容の光景など、復旧時に遭遇する震災の生々しい描写も描かれる。ちなみに、日本製紙石巻工場では、工場敷地内で41名の遺体が発見されている。

電子書籍が便利だなと思っていたが、ふと、紙質を味わうっていう楽しみ方もあるのかと考えさせられた一冊である。

2014年7月14日月曜日

【読書メモ】『絶望の裁判所 (講談社現代新書)』

絶望の裁判所 (講談社現代新書)
瀬木 比呂志
講談社
売り上げランキング: 675

著者は元裁判官で、執筆も多数。本書は元裁判官である著者が現在の日本の裁判官と裁判所制度について問題点を指摘している。その姿勢はとても悲観的だ。

著者はアメリカに留学経験があり、アメリカの裁判制度を身近に感じる機会を得ている。そのことが日本の裁判制度の問題点をよりはっきりと浮き立たせてるのではないだろうかと個人的に思う。

著者は裁判制度の問題点は、裁判官を取り巻く環境にあるとしている。裁判官は世間から閉ざされており、限られた中で実績を上げることを求められる。 そして、実績が挙げられない裁判官は冷遇される。
我々にとって画期的判決を出した裁判官が必ずしも高く評価されずむしろ冷遇される環境にあることが問題であると。

ただ、絶望するばかりでなく、これらの現状を改善する案として、著者は、弁護士の有効活用を訴える。弁護士が裁判官になることを認めるというもの。弁護士には優秀な人が多いというのがその理由。

個人的に、腐敗が進む組織というのは、共通して第三者機関による客観的かつ強力な権限を持った評価機関が無いということにあると思う。
また、選挙時の「最高裁判所裁判官国民審査」ももう少し制度の改善の余地があると思うのだが。

【読書メモ】『歴史を変えた外交交渉』

歴史を変えた外交交渉
歴史を変えた外交交渉
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フレドリック スタントン 村田 晃嗣
原書房
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本書には1778年のアメリカ独立戦争時に締結されたフランス・アメリカ同盟条約から1986年のレイキャビクにおける日ソ首脳会談までの歴史的な交渉がとりあげられている。

交渉当事者たちが何を考え、自分たちの要求と相手方の要求の妥協点を見極めつつ、言葉を選びながら相手と交渉し、最終的な合意へ向かう臨場感ある描写は読み始めてからあっという間に引きこまれてしまった。 本書は歴史的な8つの交渉を取り上げているが、各々の交渉の最後に書かれている当事者たちが得た教訓、あるいは当事者たちの言葉は我々にとって交渉へのヒントとともに普遍的なテーマを突きつけるかもしれない。

僕はとくにパリ講和会議の章の最後に書かれているイギリスのデイヴィット・ロイド・ジョージ大統領(当時)の言葉が印象的だ。一部を引用させて頂く。

「(略)英雄的行為や勝利を描いた絵画に心をかきたてられるのは戦争の苦しみや恐ろしさを知らない連中だけだ。だから、30年度程度もの講和を成立させるのは比較的やさしい。難しいのは、戦争がどういうものかを実際に体験している世代がいなくなった時代においても新たな戦争を引き起こすことがないような平和を構築しておくことだ。」

今は第二次世界大戦から70年あまり。直接戦争に行かなくても疎開経験など、何かしら戦争による経験をされている方々もご高齢であり、戦争に関わる体験をした方々も少なくなっている。そんななか、戦争をせずに、国益を守るにはどうすればよいのだろうか。

今後、外交交渉は今まで以上にとても重要になってくるだろう。

2014年6月14日土曜日

【読書メモ】『医師は最善を尽くしているか―― 医療現場の常識を変えた11のエピソード』

医師は最善を尽くしているか―― 医療現場の常識を変えた11のエピソード
アトゥール・ガワンデ
みすず書房
売り上げランキング: 42,599

著者はアメリカの医師でTHE NEW YORKER誌の医学・科学部門のライター。2010年にTIME誌で「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれている。

本書では様々な医療現場の中で困難に向き合う医師達の姿が描かれる。医療器具や医薬品が不足している僻地、地獄図のような戦場での治療現場、患者に誠意を持って対応した医師に対する医療訴訟など、個人ではいかんともし難い状況の中で大きな効果を挙げた事例を紹介している。

著者はそれらを「ポジティブな逸脱」と呼んでいる。そして、ポジティブな逸脱をするために以下の5つの提案を語りかける。
1.「筋書きのない質問をしろ」
2.「不平を漏らすな」
3.「何か数えろ」
4.「何か書け」
5.「変われ」

これらの提案の意味することは本書を読み込んで欲しいが、何も特別なことは行っていないことがわかるだろう。日々、地道に目の前の課題に取り組む。自分に妥協せず、自分の納得行くまで徹底的に考え抜くのである。そして、常に自分を客観的に捉え、変化するチャンスをさがし続けるのである。

2014年5月5日月曜日

【読書メモ】この世で一番おもしろいマクロ経済学――みんながもっと豊かになれるかもしれない16講

本書は経済学者:ヨラム・バウマンと漫画家:グレディ・クラインによる漫画で読む経済の本だ。『世界一わかりやすい経済の教室』と同じくブログ「Economics Lovers Live ReF」(10/6記事)で紹介されていた本。一回読んだだけじゃ駄目だな。

【読書メモ】『この世で一番おもしろいミクロ経済学――誰もが「合理的な人間」になれるかもしれない16講』

本書は経済学者:ヨラム・バウマンと漫画家:グレディ・クラインによる漫画で読む経済の本だ。『世界一わかりやすい経済の教室』と同じくブログ「Economics Lovers Live ReF」(10/6記事)で紹介されていた本。こちらはミクロ経済。
一回読んだだけじゃ駄目だな。

【読書メモ】『世界一わかりやすい 経済の教室 (中経の文庫)』

著者は飯田泰之。エコノミスト。テレビで大人気(らしい)by 本書表紙。読みやすくてとてもわかり易い。経済の勉強をする上で、まず読んでおいていいかもしれない。

本書はこちらのブログで知った。2013年10月6日記事の「[経済]経済を無理なく理解するにはどうしたら?(経済書ブックガイド2013秋)」である。

個人的に気になった単語。サンクコスト(埋没費用)、経営学(競争回避)と経済学(競争讃歌)、マクロ(クローズドシステム)とミクロ(オープンシステム)。そして銀行がどうやって日本経済を動かすのかなど、丁寧に触れている。自分も知っているつもりになっていたこととか、いろいろ気づきもあってあっという間に読んでしまった。経済に関する本を読む取っ掛かりとしていいかもしれない。